2011-04-29

沈黙の王 (宮城谷 昌光) を読む

沈黙の王 (文春文庫)
宮城谷 昌光

4167259060
文藝春秋 1995-12
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「沈黙の王」は五つの短編集から成っており、時代もバラバラです。夏王朝・商王朝・西周滅亡・東周樹立・晋。ひどいものですね。全く予備知識なしに読んで理解できるかどうか不安です。

簡単に各編の紹介と感想を書きましょう。

沈黙の王

商の 27 代・高宗武丁のお話しです。武丁は甲骨文字を作ったことで有名です。このお話は、武丁が文字を作るまでに味わう艱難辛苦を描いた作品です。

地中の火

夏の 5 代目に滅亡の危機がありました。后羿とその部下・寒浞が王を殺して、公子も全て殺害してしまうのです。けれど、一人だけ見逃した子がいて、后羿と寒浞は敗れます。珍しく反乱し失敗する側に立った作品です。

妖異記

周 (西周) 崩壊を描く一編です。鄭の桓公がなんとか幽王を助けようと奮闘する姿が悲しいです。周滅亡のきっかけになったのは、褒姒という王妃でした。夏王朝の末喜、商王朝の妲己、西周王朝の褒姒。三つの王朝が王妃をきっかけに減びるというのは面白い符号の一致ですね。

豊饒の門

「妖異記」の後半部分からお話しが始まります。鄭の桓公の息子・武公の助力により幽王の子・平王が洛邑に周を再興します。東周の始まりであり、春秋時代の始まりでもあります。

本短編集の中で、唯一、続きものとして楽しめる作品です。

鳳凰の冠

晋の悼公に仕えた、羊舌氏の叔向が主人公です。時代としては斉に晏子、鄭に子産、宋に向戌、楚に伍挙がいる名臣・賢臣の時代です。夏姫の娘が出てきて、叔向と結婚しますが、史実かどうかは分かりません。

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