2011-06-25

ピーター・フォーク、亡くなる

「刑事コロンボ」シリーズのコロンボ役でお馴染みの名優、ピーター・フォークが 2011 年 6 月 23 日に亡くなったそうです。享年 83 歳。

皆さんはご存じでしょうかね? ピーター・フォークの片目が義眼だということ。徹底した完璧主義者だったこと。コロンボ・シリーズ以外の映画でも、それはもう素晴らしい演技をしていたこと (see ピーター・フォーク - Wikipedia)。そして、最近はアルツハイマー病で闘病していたこと。

天国から、「すいません。もう一つだけ」と言ってくれないものか。ちょっと空を見上げてしまいます。


The Art of Youra Guller を聞く

Art of Youra Guller (Prelude & Fugue/Ballade 4)
Claude-Béninge Balbastre

B0000037BU
Nimbus Records 1996-11-01
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ヨウラ・ギュラー (Youra Guller; 1895-1980) は幻のピアニストの一人。録音枚数が少なく、私がこの CD を買った時、CD は 2 枚しか存在しませんでした (もう一枚はベートーヴェンのピアノ・ソナタ 31, 32 番)。ほとんどジャケ買いで買った一枚が、幻の一枚だったことに驚きを禁じえません。最近では再評価が進み、放送録音や埋もれていた録音が再発掘されています。

この CD に収められた曲は全て素晴らしいのですが、特に良いのが 1 曲目。バッハの「幻想曲とフーガ ト短調 BWV 542」(リスト編曲版)。リストのクラシック界の生存意義は、バッハのこの曲をピアノ版に編曲するためにあったのではないか? とさえ思ってしまいます (言いすぎ m(_ _)m)。それほどに、このピアノ版の演奏は素晴らしい。

一度は音大受験を試みた才媛との会話。

ぼく: 好きなピアニストは誰ですか?

相手: 居るには居るけど、知らないだろうなぁ。

ぼく: なぜ?

相手: 凄いピアニストなんだけど、録音が 1 枚しかないのよ。

ぼく: 誰です?

相手: ヨウラ・ギュラーって云うんだけどね。

ぼく: バッハの幻想曲とフーガ ト短調ですな。

相手: なんで分かった!?

ぼく: ギュラーといえば、この曲を挙げねばなりますまい。

相手: そう。とても良いよね。

とまあ、こんな具合。特にフーガ (俗に云う大フーガ ト短調) に入ってからの演奏が素晴らしい。音楽から天にも召されるような感動。ピアノだからこそ強調される強烈な打鍵!! オリジナル・オルガン版やオーケストラ編曲版では味わえないカルタシスです。

一時期は輸入も途絶えていましたが、最近のギュラー・ブーム (?) のお蔭か安定して給供されている模様。喜ばしい限りです。

収録曲

一応、収録曲を載せておきます。

  1. バッハ (リスト編): 幻想曲とフーガ ト短調, BWV 542
  2. バッハ (リスト編): 前奏曲とフーガ イ短調, BWV 894
  3. マテオ・アルベニス (1755-1831): ピアノ・ソナタ ニ短調
  4. クープラン: 花傘、またはやさしいナネット
  5. ラモー: 鳥のさえずり
  6. ダカン: タンバリン
  7. バルバトル (1724-1799): ロマンス ハ長調
  8. ショパン: 練習曲 ヘ短調, Op.25-2
  9. ショパン: バラード 第 4 番, Op.52
  10. グラナドス: アンダルーサ 〜 スペイン舞曲集, Op.37-5
  11. グラナドス: オリエンタル 〜 スペイン舞曲集, Op.37-2

マテオ・アルベニスは有名なイツァーク・アルベニスとはおそらく無関係です。

関連ページ

ジャズとブルーズの格安 25 枚ボックスが Amazon で予約受付中

2010 年、ジャズの名盤を 25 枚集めたボックスが発売されました。「Perfect Jazz Collection: 25 Original Recordings」

そして、2011 年。その第二弾が予約受付中です (Amazon 価格は 7,918 円)。発売予定日は 7/5。何故か、同名のボックスが既に発売済みですが、値段が 9,894 円とお高いので、予約盤を注文するのがよろしいかと。

収録曲は以下の通りです。

Perfect Jazz Collection: 25 Original Recordings
  1. ルイ・アームストロング「Louis Armstrong Plays WC Handy (1954年)」
  2. サラ・ヴォーン「Sarah Vaughan In Hi-Fi (1955年)」
  3. アート・ブレイキー「Art Blakey & The Jazz Messengers (1956年)」
  4. ビリー・ホリデイ「Lady In Satin (1958年)」
  5. マイルス・デイヴィス「Kind Of Blue (1958年)」
  6. デイヴ・ブルーベック「Time Out (1959年)」
  7. デューク・エリントン―カウント・ベイシー「First Time (1961年)」
  8. ヘレン・メリル「Parole e musica (1961年)」
  9. チャールズ・ミンガス「Tijuana Moods (1962年)」
  10. チェット・ベイカー「Chet Is back (1962年)」
  11. セロニアス・モンク「Monks Dream (1962年)」
  12. ソニー・ロリンズ「Sonny Meets Hawk (1963年)」
  13. マーシャル・ソラール「At Newport '63 (1963年)」
  14. ポール・デズモンド―ジェリー・マリガン「Two Of A Mind (1963年)」
  15. ベニー・グッドマン「Together Again (1964年)」
  16. ジョージ・ベンソン「It's Uptown (1966年)」
  17. ニーナ・シモン「Sings The Blues (1967年)」
  18. アート・テイタム「Piano Starts Here (1968年)」
  19. エロール・ガーナー「Concert By The Sea (1969年)」
  20. ハービー・ハンコック「Head Hunters (1973年)」
  21. スタン・ゲッツ「The Best Of Two Worlds (1976年)」
  22. ジャコ・パストリアス「Jaco Pastorius (1976年)」
  23. ウェザー・リポート「Heavy Weather (1977年)」
  24. ウィントン・マルサリス「Standard Time Vol.1 (1987年)」
  25. チャーリー・パーカー「Bird (1988年)」
Perfect Jazz Collection Vol.2
  1. Duke Ellington「Ellington Uptown (1953)」
  2. Dave Brubeck「Jazz Goes To College (1954)」
  3. Louis Armstrong「Satch Plays Fats (1955)」
  4. Miles Davis「Round About Midnight (1956)」
  5. Various Artists「The Sound Of Jazz (1958)」
  6. Charles Mingus「Mingus Ah Um (1959)」
  7. Paul Desmond「Desmond Blue (1962)」
  8. Sonny Rollins「The Bridge (1962)」
  9. Thelonious Monk「Underground (1968)」
  10. Freddie Hubbard「Straight Life (1970)」
  11. George Benson「Beyond The Blue Horizon (1971)」
  12. Mahavishnu Orchestra「Birds Of Fire (1972)」
  13. Clifford Brown「The Beginning And The End (1973)」
  14. Gerry Mulligan & Chet Baker「Carnegie Hall (1974)」
  15. Chet Baker「She Was Too Good To Me (1974)」
  16. Herbie Hancock「Thrust (1974)」
  17. Wayne Shorter「Native Dancer (1974)」
  18. Jim Hall「Concierto (1975)」
  19. Return To Forever「Romantic Warrior (1976)」
  20. Stanley Clarke「School Days (1976)」
  21. Weather Report「08:30 (1979)」
  22. Al Di Meola, John Mclaughlin, Paco De Lucia「Friday Night In San Francisco (1981)」
  23. Dexter Gordon (O.S.T.)「Round Midnight (1986)」
  24. Carmen McRae「Carmen Sings Monk (1988)」
  25. Wynton Marsalis「Standard Times Vol.3 (1990)」

ブルーズのボックスも出る

同じ装丁で、Blues の 25 枚組ボックスも出ます。Amazon 価格 7,520 円。発売予定日は 6/28 です。詳細は分かりませんが、Amazon の説明を読むと、収録されるアルバムは主に 1951-2003 年のもの。アーティストの名前にはスティービー・レイ・ボーン、アレサ・フランクリン、ロバート・ジョンソン、マディー・ウォーターズ、タジ・マハール、エッタ・ジェームズなどが挙げられています。

ブルーズ・ファンはこちらのボックスの方が興味深いかもしれませんね。

2011-06-23

Günter Ramin のバッハ・ボックス (12 枚組) を聞く

Cans/Passion/Organ Works
J.S. Bach

B0007OP694
Berlin Classics 2008-07-08
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HMV で詳しく見る

ギュンター・ラミン (Günter Ramin) はセント・トーマス教会のカントールを務めた人です。

セント・トーマス教会は、ドイツはライプツィヒにある教会で、その教会の音楽監督をカントールと呼びます。セント・トーマス教会の名を有名にしたのは、J. S. バッハがライプツィヒの地で同教会のカントールを務めたことによります。バッハは毎週カンタータを作曲・演奏したと伝えられています。あのマタイ受難曲の初演も、このセント・トーマス教会なのだとか。

ラミンは、バッハから数えて 12 代目のカントールに当たります。バッハ直系 (?) のドイツらしい演奏を聞かせてくれます。CD が少ないのは、ラミンが古い人だからでしょう。ラミンの弟子にはカール・リヒター、ヘルムート・ヴァルヒャなどがいます。どれほど古い人か、推して知るべしですね。

CD について

この CD ボックスはカンタータ 9 枚、ヨハネ受難曲 2 枚、オルガン曲 1 枚で構成されています。私が一番好きなのは、3 枚目に入っている「すべてはただ神の御心のままに (Alles nur nach Gottes Willen, BWV.72)」。この感想は「なお & トラさん邸オーディオ・オフ会 (第 2 回) でかけた CD について」に書きましたが、再録しましょう。

さて、この三曲目が凄い。第二曲の静かなアリオーソから動のアリアへ! 曲の構成はアルト (ボーイ・ソプラノ!) とヴァイオリンが交互に歌い、クライマックスに二つの旋律が一緒に奏でられ二声の対位法になるというもの。ところが、このヴァイオリン部分。なんと 2 丁のヴァイオリンと通奏低音による 3 声のカノン (もしかしてフーガ?) になっているのです。つまりクライマックスは、アルトとヴァイオリンの二声の対位法に更に 3 声のカノンが含まれるという構成。もう、バッハの凄まじさに圧倒されるばかりです。

時間がある時には、「ヨハネ受難曲」も良いですね。カール・リヒターの厳粛な感じを更に強めた演奏です。モノラル録音 (rec. 1954) なのが非常に残念です。

収録曲

Amazon にも HMV にも収録曲の日本語訳がないので、ここに書いておきます。

  • CD1
    • 喜び勇みて羽ばたき昇れ (Schwingt freudig euch empor) BWV 36
    • 試練に耐うる人は幸いなり (Selig ist der Mann) BWV 57
    • 人々シバよりみな来たりて (Sie werden aus Saba alle kommen) BWV 65
  • CD2
    • イエスよ、いま讃美を受けたまえ (Jesu, nun sei gepreiset) BWV 41
    • 主よ、御心のままに、わが身の上になし給え (Herr, wie du willt, so schick's mit mir) BWV 73
    • わが神の御心のままに、常に成らせたまえ (Was mein Gott will, das g'scheh allzeit) BWV 111
  • CD3
    • すべてはただ神の御心のままに (Alles nur nach Gottes Willen) BWV 72
    • おのがものを取りて、行け (Nimm, was dein ist, und gehe hin) BWV 144
    • われは神の御胸の思いに (Ich hab in Gottes Herz und Sinn) BWV 92
  • CD4
    • 死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ (Halt im Gedächtnis Jesum Christ) BWV 67
    • この同じ安息日の夕べ (Am Abend aber desseligen Sabbats) BWV 42
    • 汝らは泣き叫び (Ihr werdet weinen und heulen) BWV 103
  • CD5
    • 泣き、歎き、憂い、怯え (Weinen, Klagen, Sorgen, Zagen) BWV 12
    • ただキリストの昇天にのみ (Auf Christi Himmelfahrt allein) BWV 128
    • 神は喜び叫ぶ声と共に昇り (Gott fährte auf mit Jauchzen) BWV 43
  • CD6
    • 讃美と栄光 至高の善なる者にあれ (Sei Lob und Ehr dem höchsten Gut) BWV 117
    • われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ (Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ) BWV 177
    • まじりけなき心 (Ein ungefärbt Gemüte) BWV 24
  • CD7
    • 心せよ、汝の敬神の偽りならざるかを (Siehe zu, daß deine Gottesfurcht nicht Heuchelei sei) BWV 179
    • 主を頌めまつれ、勢威強き栄光の主を (Lobe den Herren, den mächtigen König der Ehren) BWV 137
    • 汝なにゆえにうなだるるや、わが心よ (Warum betrübst du dich, mein Herz) BWV 138
  • CD8
    • 全地よ、神にむかいて歓呼せよ (Jauchzet Gott in allen Landen) BWV 51
    • キリストこそ わが生命 (Christus, der ist mein Leben) BWV 95
    • 主なる神は日なり、盾なり (Gott der Herr ist Sonn und Schild) BWV 79
  • CD9
    • 深き淵より われ汝に呼ばわる、主よ (Aus der Tiefen rufe ich, Herr, zu dir) BWV 131
    • 神の時こそ いと良き時 (Gottes Zeit ist die allerbeste Zeit) BWV 106
    • エルサレムよ、主を讃えよ (Preise Jerusalem, den Herrn) BWV 119
  • CD10,11
    • ヨハネ受難曲 BWV 245
  • CD11 オルガン曲集
    • トッカータとフーガニ短調 BWV 565
    • 前奏曲とフーガ ヘ長調 BWV 540
    • 前奏曲とラルゴとフーガ ハ長調 BWV 545 (Early Version)
    • 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545

関連・参考サイト

2011-06-22

モーツァルトのレクイエム (Spering 指揮) を聞く

Requiem (Sussmayr & Orig Unfinished Version)

クリストフ・シュペリング (Christoph Spering) 指揮ノイエ・オーケストラ。

この CD には 2 つのモーツァルトのレクイエムが収録されています。一つは一般的なジュスマイヤー補完によるレクイエム。もう一つはモーツァルトの筆だけによるオリジナル版のレクイエムです。

モーツァルトのレクイエムは未完に終わり、アイブラーなどの弟子が補完を試みますが完成には至らず、最終的に弟子ジュスマイヤーによって「一応」の完成を見ます。私達が聞く多くのレクイエムはジュスマイヤー補完によるレクイエムなわけです。

しかし、シュペリングはオリジナル譜からモーツァルトが書いたであろう部分のみを再構成しました。そして、未熟な (失礼!) 弟子の手の入っていない、オリジナルのモーツァルトのレクイエムを録音したわけです。

オリジナルについて

モーツァルトのレクイエムは、最初の「イントロイトゥス」と次の「キリエ」が完成しています。続く「怒りの日」以降はスケッチのみ。主旋律は分かりますが、低弦楽器のパートなどが書かれていません。スケッチは「ラクリモーサ」の第 8 小節目まで続きます。また、「ラクリモーサ」の次に当たる「オッフェルトリウム」のスケッチもモーツァルトは残していました。ラクリモーサを完成させる前に書いていたのでしょうね。モーツァルトの真筆とされるレクイエムは以上です。残る曲はジュスマイヤーの完全創作です。

1961 年、モーツァルトの 16 小節のスケッチが発見されました。「アーメン」と歌ったこの短い旋律は、ラクリモーサの最後にフーガとして付け加えられるものだと考えられています。本 CD では、この 16 小節の「アーメン」も収録しています。未完に終わったアーメン・フーガがフッと消える瞬間、モーツァルトの音楽も終わるのです。

演奏について

最初のテンポは比較的遅めです。しかし、古楽器なのとコーラス隊のピッチが揃っているのとで、ベームのような重くるしさは感じません。

怒りの日に入ると、テンポ・アップ。ジュスマイヤー版もソツなくまとめた良い演奏です。

モーツァルトのオリジナル版については、唯一無二の演奏なので何も言えません。そこにあるのは未完の美。ただただその美しさに酔いしれるのみです。

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2011-06-09

The Rose (手嶌 葵) を聞く

手嶌葵さんは、映画「ゲド戦記」で「テルーの唄」を歌った歌手さんです。手嶌さんはアルバム「The Rose 〜 I Love Cinemas 〜」で、好きな映画曲のカバーをしています。

The Rose~I Love Cinemas~
手嶌葵
The Rose~I Love Cinemas~
曲名リスト
1. The Rose(1979/米 映画「ローズ」より)
2. Moon River(1961/米 映画「ティファニーで朝食を」より)
3. Calling you(1987/西独 映画「バグダッド・カフェ」より)
4. Raindrops Keep Falling On My Head(1969/米 映画「明日に向って撃て!」より)
5. Over the rainbow(1939/米 映画「オズの魔法使」より)
6. Beauty And The Beast(1991/米 映画「美女と野獣」より)
7. What Is A Youth?(1968/英・伊 映画「ロミオとジュリエット」より)
8. Alfie(1966/英 映画「アルフィー」より)
9. The Rose(extra ver.)

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手嶌さんは、ハスキー・ヴォイスでしっとりと歌い上げるタイプ。声がかすれ気味なのが、何ともたまりません。

最初の「ローズ」のピアノの入りからゾクッとします。手嶌さんは歌唱力があるので、ピアノ一つでも十分音楽を楽しむことができます。特に「ローズ」への思い入れは強いらしく、(私は初めて聞いたのですが) とても印象に残りました。

二曲目の「ムーン・リバー」、五曲目の「オーバー・ザ・レインボー」は定番中の定番。対抗馬が沢山あるので、手嶌さんの歌唱をベストと呼ぶのはためらいが... 私の思い入れを言えば「ムーン・リバー」はオードリー・ヘップバーンの歌唱が、「オーバー・ザ・レインボー」はジュディ・ガーランドの歌唱が一番好きですかねぇ。

さて本題。本アルバムの目玉について。目玉は 2 つ。

一つ目は「美女と野獣」から「Beauty And The Beast」。まるで妖精の世界から流れ出たような、小音量で歌われて。私は耳をそばだてながら聞いてしまいます。その美しいこと。映画版のしっかりした歌唱はディズニーの「美女と野獣」でしたが、手嶌さんの場合、ジャン・コクトーの原作の世界に迷い込んだ錯覚を覚えます。

二つ目は「ロミオとジュリエット」から「What Is A Youth?」。いわゆるニーノ・ロータの「ロミオとジュリエット」のテーマ曲と呼ばれるものです。映画を見ていない方のために書きますが、この曲はロミオとジュリエットが初めて出会う時に吟遊詩人によって歌われます。そして、映画の中で、編曲されて何度も繰り返して演奏されます (See also ロミオとジュリエット (1968 年版; サントラ) を聞く)。皆さんが知っている「ロミオとジュリエット」のテーマは実は編曲されたものが多く、ジョシュ・グローバンもアルバム「アウェイク」にこの曲を入れていますが、編曲版を採用しています。

ところが、手嶌さんはオリジナル (吟遊詩人が歌ったバージョン) を歌っています。吟遊詩人の張りがあってビブラートのかかった歌唱も、それはそれは素晴らしいものです。一方、手嶌さんは一つ一つの言葉を噛みしめるように、哀愁をこめて歌い上げます。もう、どちらが良いかなど問うのが難しいほど、オリジナルも手嶌さんも素晴らしい!

もしアルバムを手に取る機会があったら、是非聞いてみて下さい。映画好きなら、きっと満足頂けるはずです。

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2011-06-08

ロミオとジュリエット (1968 年版; サントラ) を聞く

フランコ・ゼフィレッリ (Franco Zeffirelli) 監督。ニーノ・ロータ作曲。主演: オリヴィア・ハッセーとレナード・ホワイティング。1968 公開の英伊合同製作版「ロミオとジュリエット」。

最も有名な「ロミオとジュリエットのテーマ曲」が入っているのが、この 1968 年版の「ロミオとジュリエット」です。テーマ曲には「What Is A Youth」という曲名が付けられています (あまり知られていませんが)。

「What Is A Youth」が最初に登場するのは、ロミオとジュリエットが舞踏会で一目ぼれするシーン。吟遊詩人 (Glen Weston) が歌います。そのメロディーの素晴らしいこと!!

「What Is A Youth」は、その後も色々と形を変えて映画の中で登場します。バルコニー・シーンでは小鳥が囀るように、結婚シーンでは賛美歌風に、二人の最後の逢瀬では哀しい旋律で、ジュリエットの (偽の) 葬儀シーンでは教会の響きのなか合唱で、ロミオの最後の言葉に合わせてクラリネットとストリングスで、ジュリエットの最後は壮絶さと悲しみの中で。どれもが素晴らしい編曲です。

映画では、これらのシーンで「What Is A Youth」がかかっていることに気付かない方も多いでしょう。それは、音楽があまりにシーンに自然に挿入されているからです。

音楽だけを楽しむには、このサントラは最適と申せましょう。

なお、私が持っている「ロミオとジュリエット」は 7 曲しか収録されていません。一方、この記事の冒頭に示したサントラ盤は 21 曲入っています。これは、既存の 7 曲を分けてトラック数を増やしたのではないかと愚考します。もし、両方のサントラをお持ちの方がいらっしゃいましたら、コメントなど頂ければ幸いです。

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2011-06-04

HMV が一万円以上購入で 15 倍ポイント・キャンペーンを明日まで実施

HMV がクラシック音楽の CD 限定で「一万円以上購入で 15 倍ポイント・キャンペーン」を実施しています。期限は明日まで。

今回のキャンペーン。少し思うところがあったので、エントリーにします。

嬉しい点

「○○すると 15 倍キャンペーン」は、HMV が数か月に一度おこなうキャンペーンです。今までは、「輸入盤」という縛りが多かったのですが、今回のキャンペーンは国内盤 CD も対象内です。これは珍しいことです。今まで国内盤のクラシック CD を敬遠していた人は、この機会を活かしてみてはいかがでしょうか?

残念な点

四点あります。

一点目。開催期間が短いことです。今日と明日 (6/4,5) しかキャンペーン期間がありません。キャンペーン期間が土日に重なっているので、HMV 側に質問があっても返事が来る頃にはキャンペーンが終わっていそうです。

二点目。告知が直前だったこと。今回のキャンペーンの告知は、前日 (6/3) の夜に出されました。HMV のこの手のキャンペーン告知は、前日になることが多いのですが、キャンペーン期間が長いので気になりませんでした。しかし、今回のように二日しか開催しないキャンペーンの告知を前日に出すのはいかがなものでしょう? 今回のキャンペーンを知る人はかなり少なくなってしまうのではないでしょうか?

三点目。対象がクラシック音楽に限定されている点。これは「国内盤」を対象に入れているトレード・オフかもしれませんが、「ジャズ」や「ミュージカル」の CD も買おうと思っている (私のような) 人間には残念なキャンペーンです。

四点目。ダイヤモンド会員のメリットがない。HMV のダイヤモンド会員の特典に「ポイントが倍になる」というものがあります。例えば、HMV が現在実施している「書籍 4 冊以上買うとポイント 10 倍」キャンペーンには ダイヤモンド会員様は、20倍にて加算させていただきます と明記されています。しかし、今回のキャンペーンにはそういう記述はなく代わりに 対象となる商品が他のポイントキャンペーンと重複している場合でも、獲得できるポイントは最大で15倍となります とあります。折角、HMV でたくさん買い物をしてダイヤモンド会員になったのに、一般会員と同じ扱いでは悲しい限りです。

蛇足ながら、HMV では「クラシック予約 CD ポイント 10 倍」キャンペーンも同時併行で実施中です。ダイヤモンド会員の場合、これに会員特典のポイント倍が加わって、予約 CD のポイントは 20 倍ポイントになります。しかし、今回は予約 CD も「一万円以上〜」のキャンペーン対象になっているため、「他のポイントキャンペーンと重複しても、ポイントは最大で 15 倍となる」ようです。「一万円以上〜」キャンペーン期間中、ダイヤモンド会員は予約 CD を買わない方が良さそうです。逆に損をします。あっ、でも、この件に関しては HMV 側に尋ねて回答をもらったとか、実際に予約 CD を注文したら 20 倍ポイントにならなかったとか、確かめたことではありません。ただ文面を読むとそう解釈出来るというだけです。もしかしたら、ダイヤモンド会員の「予約 CD」は 20 倍ポイントになるのかもしれません。ただ、その確認をするために CD を買うのは、ねぇ。ご勘弁下さい。

2011-06-02

松岡正剛の千夜千冊

先日、友達と久しぶりの会ったときのこと。話題が「本」へと入っていきました。最近面白かった本、これはおススメな本、興味はあるけどまだ読んでいない本。

そんな中、面白い本と出会うには? との問いに。。。

私の答えは、「SFはこれを読め!」のような本を紹介する本に頼ることがあるというもの。

一方、友達の答えがウェブ・サイト「松岡正剛の千夜千冊」でした。

松岡正剛の千夜千冊

「松岡正剛の千夜千冊」では千冊もの本に対して、非常に丁寧な書評を載せています。

まず千冊という数が凄いです。私は 2008 年 8 月から読書メーターにて読書記録を付けていますが、「読んだ本」の数はいまだ 193 冊 (2011-06-02 現在) です。とうてい千冊には達しません。ましてや、その一冊一冊に詳しい書評など... 考えるだに恐しいことです。

そして選本がとても凝ってらっしゃる。ベストセラーになったダニエル・キイスの「24 人のビリー・ミリガン」があるかと思えば、物理学者には抱腹絶倒の一冊「ご冗談でしょう、ファインマンさん」があり、純文学のプルーストの「失われた時を求めて」があるかと思えば、SF マンガから大友克洋の「AKIRA」がある。雑多にして、どれも名作として一度は読んおきたい本ばかり。

強いて言えば、J. R. R. トールキンの「指輪物語」やアシモフの SF 作品が選から洩れているのがファンとしては悲しいところです。

閑話休題。

本サイトは本の選び方が幅広く・奥深い上に、数が多くて書評もしっかりしています。ですから、「これからの一冊」を探すのにとても良いサイトだと思います。もし、自分の殻を破って新しいジャンルの本を探す気になったら、このサイトを訪れてみると良いのではないでしょうか。