2013-11-03

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語 —— マミとほむらの相性 (ネタバレあり)

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」のネタバレあり感想第二弾です (第一弾「結末の所感」もよろしく)。

今回も映画を観た人向けに書きますので、ネタバレ全開です。

映画未見の方は、ここから先を読まないで下さい。

読む前に...

まどか☆マギカは TV 放送 12 話、劇場版 前・後編、劇場版 [新編] 叛逆の物語 の 3 作品が作られています。本エントリーでは、TV 放送分を「TV 版」、劇場版 前・後編を「前作」、[新編] 叛逆の物語を「本作」と便宜上呼ぶことにします。

マミ vs ほむらのガン=カタ

本作のマミ vs ほむらのガン=カタは素晴らしい!! アニメ史に一つの金字塔を打ち立てたのではないでしょうか? これから先、アニメの「ガン=カタ」は「まどか☆マギカ 叛逆の物語」を越えたかどうかが争点になる、と言っても過言ではない程に見応えのある「ガン=カタ」でした。

本作のガン=カタは単純なアクションだけを取っても高水準です。その事実を踏まえた上で、更に高みに押し上げた要素を二つ挙げてみます。

一つ目は魔法による「銃」の補給です。ほむらの盾から何十と供給される銃の種類と数は、銃を失ったり、弾切れになったりする可能性をほぼ皆無にします。てか、「暁美さん、どれだけ銃を用意してたの?」と突っ込みたい。対するマミは魔法で銃を生成できるのですから弾切れの可能性は 0 ですね。TV 版第 1 話では大量のマスコット銃からの一斉射撃という半端ない広範囲攻撃を見せてくれましたが、今作ではマスコット銃を円状に配置・回転・発砲することでマシンガン・クラスの連射という新技を見せてくれました。痺れますねぇ。

接近戦になっても、お互い銃を失っては盾から銃を補給し、魔法で銃を生成し、と息つく暇のないアクションを繰り広げてくれます。ほむらは盾から銃を取り出す分ワン・アクション多く必要なのに対して、マミは魔法で銃を生成するのでどんな体勢からでも銃を持てるのがいいですね。そういう意味では接近戦になればなるほどほむら不利になるはずですが、互角の戦いを続けるのですから面白くないはずがありません。

二つ目はほむらの「時間停止」の魔法。基本、自分と接触していないと時間が停止してしまう魔法ですが、時間停止状態から放たれた物は時間が止まるまでにタイムラグが生じます。これは TV 版 10 話の 3 回目のループや TV 版 11 話のワルプルギス戦で描写のあった通りですね。

本作では、時間停止の世界で銃を撃つので、弾道が線となって残る演出がされました。しかも、お互いが大量の弾を撃つので、弾道が模様を作って... この演出がとても綺麗でしたね。「時間停止」というギミックがないと表現できない美しさです。時間停止を解除した後、何千何万という弾丸が飛び回る描写も格好良かったです。ガン=カタという「アクション」に、弾道模様という美しさと弾丸の嵐という二度目のカルタシスを持って来る当たりが、本作のガン=カタを更なる高みへと引き上げた要因だったと思います。

マミは最強?!

新房総監督が映画パンフレットで曰く

マミは本当に強いです。油断さえしなければ、最強の魔法少女なんじゃないのかと思ってしまうほど。

本作のガン=カタでその強さを見せつけたマミ。TV 版では第 3 話でのスピード退場でしたが、実は強かったんだと汚名返上です。この活躍っぷりにマミ・ファンも大喜びでしょう。

本作での強さの秘密、もしくは TV 版での弱さの理由は、ちょっと考えれば分かるはずだよ。

ほむら「強がって、それでいて一番脆かった」

マミ「みんな死ぬしかないじゃない」

さやか「絶好頂のマミさん相手に真っ向からケンカを売るなんて」

マミ「昔は泣いてばかり... もう背伸びする必要もなくなった」

マミは精神的な脆さが出るタイプ。独りぼっちな魔法少女という境遇が辛くて、突然の真実を受け取められない。そんな弱さがあります。だから、TV 版第 3 話でまどかが魔法少女になると聞いて、ただでさえ押しつぶされそうだった所に安堵の油断が入ってマミっちゃった。そういう意味では、TV 版のマミはほとんど一人で戦っていたから、脆さが前面に出て「常に弱い」。TV 版第 10 話でも魔法少女のまどかと一緒に居たのは長くて一か月とちょっと (一周目)。短い。

一方、今作のマミはほむらが加わって魔法少女が五人になってから一か月。それより前にまどかとさやかが魔法少女になっていて、ガン=カタの時点では一人前。ほむらが転校する前に、既に一人前な杏子が転入済み。一人きりの魔法少女時代もベベという精神的な支えがありました。つまり、TV 版と比べてずっと長い間「独りぼっち」じゃなくって、仲間が居て幸せだったんですね。だからマミは「絶好頂」なんです。TV 版ではありえなかった「絶好頂」と言っていいんじゃないでしょうか。

昔の記憶を持っているほむらからすると、想定外の強さでしょう。

マミとほむらの相性

魔法少女同士が戦かった時、一番やっかいなのはほむらの「時間停止」でしょう。特に魔法の正体が分からない場合などは最悪です。

「時間停止」の魔法が知られていても、対抗策は一つです。それは「時間停止」を使われた時、ほむらと接触していること。で、各々の魔法を見ていくと、まどかは弓と矢なのでほむらと接触できません。杏子の槍やさやかの剣は近距離戦用すぎて接触は困難。ほむらが時間停止する前に動きを封じる、という手がありますが TV 版第 8 話の杏子も今作のさやかも小さな隙を付かれて時間停止に逃げられてしまっています。唯一、マミのリボンだけが遠距離であってもほむらとの接触を保つ手段なんですね。

さらに、マミは TV 版の時から違いました。遠隔操作できるリボンでほむらの動きを封じてしまいます。TV 版第 10 話の 3 周目で拘束していますし、TV 版第 3 話でも (経験値の高いほむら相手に) 再び拘束に成功しています。

どうも、遠隔操作できるリボンにほむらは不覚を取り易いようです。まあ、不意を突いて足元から現れるリボンに対処するのは難しいですよね。

今作でも、ほむらはこっそりリボンを結えられて「時間停止」を封じられます。時間停止できる魔法少女が、急に強気になって、しかも自分を部屋から外させる素振りを見せれば、そりゃ警戒もされるってもんですが。

でも、このリボンがあったからこそ、ほむらは「同じ条件」で戦わざるを得なくなり、結果あのガン=カタの名勝負が誕生したわけですよね。他の魔法少女なら、すぐに「時間停止」に逃げこまれ、ガン=カタに類する名勝負にはならなかったでしょう。「時間停止」を封じるリボンを操るマミだからこその名勝負。

ほむらとほむらの魔法「時間停止」にとって、マミは相性が悪いのでしょう。

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