2011-04-08

メトロ・サヴァイブ (藤澤 勇希)

メトロ・サヴァイブ 1 (プレイコミックス) メトロ・サヴァイブ 2 (プレイコミックス)

Bookoff online でオトナ買い

マンガ家・藤澤勇希にパニック系マンガを描かせたら右に出る人はいない (と私は勝手に思っています)。

まずパニックに至るまでの導入がスムーズ。何かが起きている、と登場人物達 (と読者) が少ない手がかりをたよりに知り始める。引き返せないことを知る。混乱、焦燥、恐怖。自然と物語に引き込まれて行く。そして、みんなが諦める中、一人が前を向く。力はないけれど、知恵と知識を頼りに希望を灯す。そんな主人公が素敵。

主人公が素敵なら、悪役も素敵。自分本意に走る人間の醜さを素直に、そしてえげつなく表現しています。不和あり。不信あり。裏切りあり。こうもりの様に主人公側と悪役側を行ったり来たりする者もあれば、徹底的に非道をつくす輩あり。そんな悪人も、最初は優しい笑顔で近付いて来るのですから始末に終えません。主人公も大変です。

そして藤澤マンガの真骨頂は、どんな絶望を前にしても諦めない主人公です。挫折することがあっても、八方塞がりになっても、心が一度折れてしまっても、必ず前を向いてくれる主人公。そんな主人公が活躍するのが藤澤マンガです。

メトロ・サヴァイブ (全 2 巻)

「メトロ・サヴァイブ」は、違法建設・手抜き工事といった過去の事件に、六本木ヒルズをモデルにした一連の不詳事を加味し、大地震という災害でパッケージングしたパニック・マンガです (※もちろん六本木ヒルズが違法建設ということではありません)。

始発に乗って帰宅しようとしたところ、大地震が襲い地下鉄に閉じこめられてしまった一同。仕方なく駅に戻るも、土砂崩れでエスカレーターは封鎖。地下水が地下鉄構内に浸水し、アクシデントで水には高圧電流が流れ、そして水位は上昇中。

主人公はうだつの上がらないビル管理員。妻・美映子と息子・将馬の三人暮らし。けれど、息子の誕生日に残業を断ることもできない弱気な人。地震の前には、なす術がありません。そんな彼に少女が「(救助も) あんまり期待できないけどね。地上も大変だろうし——」。その言葉に主人公は気が付きます。

美映子と将馬が待っているのは… オレが生きて帰る事なんかじゃない……

おやおや、一体何を言うのかと思ったら。

オレが助けに来るのを待ってるんだ。ガレキの中で凍えながら——!!

コレですよ。これが藤澤勇希マンガの主人公なんです。

パニック・マンガと言っても、ただ恐怖を煽るだけじゃない。常に希望を灯している。そんな藤澤勇希のマンガが大好きです。

蛇足

藤澤勇希のパニック・マンガでは、「レギオン」と「BM ネクタール」がオススメ。他の作品はパニック物から外れるので、少々、藤澤勇希の良さが減じている感も否めません。

0 件のコメント:

コメントを投稿