HMV で DG & Decca オリジナルス半額セールを行なっているので、フリッチャイの CD を買いました。861 円。
この CD を買おうと思ったきっかけは、友達の家で聞いたフリッチャイの「新世界」が良い演奏だと思ったからです。ところが、CD が届く前に気がついたのですが、その友達はドヴォルザークの「新世界」が苦手で、フリッチャイという指揮者も知らないのでした。一体、私は何を思ってこの CD を注文したのか? 今だにもって不明です。
この CD には 3 つの曲が収録されています:
- ドヴォルザーク: 交響曲第 9 番「新世界」
- スメタナ: 組曲「わが祖国」〜「モルダウ」
- リスト: 交響詩「前奏曲」
「新世界」はベルリン・フィルを振っているだけあって、とても安定した演奏です。カラヤンよりも味付けが濃くって、それでいてチェコチェコしていません。59 年とは思えないほど、録音も優秀です。ケルテスの演奏と比べると、ケルテスはパワーがあって聴衆を引きこむタイプ。大満足ですが、その分体力も削られます。聞き終わるとグッタリ。一方、フリッチャイの演奏は丁寧で金管も良くなり、やりすぎない所でグッと聴衆をつかむタイプ。何度でも聞きたくなる演奏です。これも名演の一つでょうね。
モルダウ
さて、このエントリーのタイトルが「新世界」でなく「モルダウ」なのは、私が「新世界」よりも「モルダウ」に強く感銘を受けたからです (もちろん「新世界」も良いですよ!)。
演奏のスタイルは「新世界」と大きな変化はありません。丁寧かつやりすぎない所でグッと聴衆をつかむ演奏です。しかし「モルダウ」の演奏には、もうちょっとエッセンスが入っているのです。
一つ目のエッセンスはテンポ。一寸早めのテンポをフリッチャイは採ります。「モルダウ」の流れとしては早すぎるのかもしれませんが、情景がスッ、スッと流れる様に変わっていくこのテンポは何とも言えません。まるでクルージングをして「モルダウ」を下っている (のぼっている?) かのようです。
二つ目のエッセンスはハープ。モルダウの曲の中には、ハープが鳴っている箇所があるのですが、大低の場合オーケストラに音が埋もれてしまって聞こえません。しかし、フリッチャイの演奏では、このハープの音がよく聞こえるのです。
そんなわけで、この「モルダウ」に魅力を感じました。この演奏には、ターリッヒやアンチェルの様なチェコ臭さはありませんが、それがまた一般受けする要因になるんじゃないかと思います。
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