2011-03-22

魔女の宅急便 2 キキと新しい魔法 (角野 栄子)

「魔女の宅急便」シリーズの 2 作目です。13 歳で魔女として一人立ちしたキキは、14 歳になりました。

魔女の宅急便〈その2〉キキと新しい魔法 (福音館文庫)
角野 栄子 広野 多珂子

魔女の宅急便〈その2〉キキと新しい魔法 (福音館文庫)
福音館書店 2003-06-20
Amazonで詳しく見る
by G-Tools

一作目は「魔女の宅急便」のスタートの話でした。コリコの町にやって来ること。「魔女」として認知されること。仕事を始めること。13 歳の子供にありがちな失敗をすること。宅急便の仕事を通じて、コリコの町の人達と心を通わせること。これらが一作目の主題でした。

二作目は大きく 2 つのパートに分けられます。一作目同様、コリコの町の人達と交流を図る前半。そして、自分の仕事に対して自信をなくしてしまう後半です。自信をなくしてしまうのは、「宅急便」という仕事を通して幸せだけでなく「不幸」も届けてしまうことがあると知ったからでした。

迷いのできたキキは、飛ぶことも上手にできなくなってしまいます。ほうきの調子も悪くなってしまいます。この後半パートで、作品はグッとキキの心の内面を描くようになりました。辛い現実を前に、キキは立ち直ることができるのでしょうか?

キキ、さんぽを運ぶ

二作目でお気に入りのエピソードは「10 キキ、さんぽを運ぶ」です。キキが落ち込んで、空を飛ぶのも自信がなくなっている時のエピソードです。病院にいるおじいちゃんが、自分の杖を「自分の代わり」に散歩させて、家まで連れて帰って欲しいというお願いです。でも、周りの人達には病気のことは言わず「自分は旅行に出かけた」と言って欲しいと頼まれます。キキは「空を飛ばない」ことで、コリコの町の別の一面も見るのでした。キキが仕事を終え病院に戻ってみると、看護士の人から、おじいちゃんは旅に出てしまったと伝えられます。

魔女の黒

魔女は黒の服を着るのがならいとなっています。その「黒色」について、ちょっと良い台詞があったのでご紹介。

魔女の黒の中には、この世の中のすべての色がはいっているのよ。むかしから人のねがいをできるだけ受け入れようとしてきた魔女には、いちばんふさわしい色なのよ

あとがき

キキは「宅急便」という仕事だけでなく、「魔女」としての役割を考えるのが本作です。そして最後に、新しい魔法も憶えようと決意して家へと戻ります。そこに、キキの成長を見た思いがします。

0 件のコメント:

コメントを投稿