2009-11-07

シューマンのピアノ協奏曲 (フルトヴェングラー指揮 / ギーゼキング)

訂正: 本エントリーにおいて、「1944 年にフルトヴェングラーとギーゼキングがシューマンのピアノ協奏曲において協演したと言われていた」ことを批判していますが、これは私の誤りで、フルトヴェングラーが指揮したと間違われたのは 1944 年の「グリーグのピアノ協奏曲」でした。匿名さん、コメントありがとうございます。

先日のエントリーにおいて、疑問を呈したフルトヴェングラーが指揮するというシューマンのピアノ協奏曲。これが Amazon から手に入ったので聞いてみました。

シューマン:ピアノ協奏曲/チェロ協奏曲(2種類)
フルトヴェングラー(ウィルヘルム)|
シューマン:ピアノ協奏曲/チェロ協奏曲(2種類)
曲名リスト
1. シューマン:ピアノ協奏曲 第1楽章
2. シューマン:ピアノ協奏曲 第2楽章
3. シューマン:ピアノ協奏曲 第3楽章
4. シューマン:チェロ協奏曲 第1楽章
5. シューマン:チェロ協奏曲 第2楽章
6. シューマン:チェロ協奏曲 第3楽章
7. シューマン:チェロ協奏曲 第2楽章(コーダ~)-第3楽章

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まず、最大の疑問はこちら。

ギーゼキングとフルトヴェングラーのシューマンのピアノ協奏曲には、1944 年録音というものがあるのですね。これは、Melodiya レーベルで出ていたもので、初出時には話題になったと聞いています。ところが、調べてみると、どうやら指揮者が違うらしい。1998 年、これがフルトヴェングラーの指揮ではなく Robert Heger (1886-1978) の演奏であることが分かりました。

life@aka: ピアニストガイド (吉澤ヴィルヘルム) が嫌いな理由 より引用

この演奏が、1944 年に録音されたものと同じかどうか。1944 年録音のものを、間違えて 1942 年録音って書いて売っているんじゃないの? という疑問。

演奏時間の違い

まずは演奏時間を比べてみました。

楽章1942 (Furtwängler)1944 (Heger)
I14'5514'28
II05'4905'06
III09'3709'59

時間を比べると、明らかに別ものです。

演奏の違い

オケに耳を傾けてみましょう。

Heger の指揮は、まるでフルトヴェングラーが運命を振る時のようでした。ベートーヴェンが乗り移ったようなシューマンのピアノ協奏曲。それは、フルトヴェングラーのベートーヴェンが好きな人にはたまらない演奏であったでしょう。しかし、純粋に「シューマンのピアノ協奏曲」を考えた時、「違う」とも思ってしまいます。

一方、本家フルトヴェングラーの指揮は違います。ピアノとの「協奏」がしっかりと成されています。ピアノを立てる所は立て、オケが鳴る所では次への流れを意識した演奏を行なっています。録音はライヴ。ライヴのフルトヴェングラーというだけあって、盛り上がるところはスーっと盛り上がります。その熱気に負けないギーゼキング。うむ。これは楽しい演奏です。

第三楽章に入って、一番の盛り上がり所でギーゼキングが少しトチってしまっているのが瑕でしょうかねぇ。ライブのことなので、仕方ありません。

ところで、前エントリーで私が推したギーゼキングとカラヤンの協演盤。こちらを Amazon で探してみましたが、どうやら現在廃盤のようです。そういうわけで、今、ギーゼキングの弾く「シューマンのピアノ協奏曲」のファースト・チョイスはこのフルトヴェングラーとの協演盤なのかもしれません。悪くない演奏です。むしろ迫熱した良い演奏です。しかし、ライブの一発録り。1942 年の古い録音。これを代表盤にしてしまうのは、少し気がひけてしまいます。個人的には、やはり、カラヤンとの協演盤の復活を願いたい。

4 件のコメント:

  1. 1944年録音でヘーガー指揮と言われたのはグリーグのピアノ協奏曲では??
    シューマンは最初からフルトヴェングラー指揮でした。
    1942.3.1

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  2. 手元にある資料は、THARA から出ている「The Art of Walter Gieseking」(TAH 195) のライナー・ノートです。

    これには、グリーグとシューマンのピアノ協奏曲が含まれていて、両方ともヘーガーの指揮であると書かれています。

    そして、フルトヴェングラーと間違えられたのはシューマンのピアノ協奏曲ではなく、グリーグのピアノ協奏曲だとちゃんと書いてありました。申し訳ないです。後で、エントリーも直しておきます m(_ _)m。ご指摘コメントありがとうございます。

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  3. この演奏で「このくだりが好き」と覚え、もっといい音で聞こうと他のピアニストと指揮者の演奏で同じ箇所をさがすと、ない。いや、同じ音を演奏してるんだけど全然別物。それくらい個性があって、しかし少しも不自然ではない。大好きな演奏です。わたしはこれを代表盤にしても苦情は言いません。

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    1. こんにちは。

      > 個性があって、しかし少しも不自然ではない。大好きな演奏です。わたしはこれを代表盤にしても苦情は言いません。

      素晴らしいコメントありがとうございます。
      ギーゼキングは本当に素晴らしいピアニストですよね。フルトヴェングラーも最高のサポートをしていますよね。この演奏が好きということは、本当に音楽がお好きなのですね。よろしければ、また遊びに来て下さい。

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