2010-12-02

なお & トラさん邸オーディオ・オフ会 (第 2 回) でかけた CD について

2010 年 11 月 17 日、なお&トラさん邸に再びお邪魔しました。初めてなお&トラさん宅でオーディオ・オフ会を開いたのが 11 月 7 日なので、10 日ぶりの再訪問となります。

前回は、LP 中心で音楽を聞いたのですが、今回は CD も聞けるよう調節しておくよ、とのこと。喜んで数枚の CD を持参しました。とはいえ、前回のオフ会でなお&トラさん邸では LP プレーヤーの方が CD プレーヤーより数段上の音が鳴ることを知っていたので迂闊な CD は持っていけません。折角の機会なのですから、自分も楽しめ、かつ相手も LP では楽しめないような CD を持っていこうと思いました。

つまり、最近の録音で LP が出ていないとか、LP は存在するけど買おうとするとバカ高い値段になってしまうような物を選んで持っていきました。幸い、持っていった CD に興味を持って下さったらしく、写真なぞを撮っていたので、拙い知識ではありますが簡単に CD の説明をしようと思います。

なお&トラさん邸でかけた CD は以下の 6 枚です。

なお&トラさん邸で聞いた CD

Music From The Films Of Audrey Hepburn

オードリー・ヘップバーンが出演した映画のメインテーマを集めた CD です。このアルバムからは、最後の曲「Moon River」を聞きました。このムーン・リバーは映画の中でオードリー・ヘップバーン自身が歌ったもので、オリジナルのサントラには収録されていません。1993 年になって初めて、この CD で世に出たものです。なので、LP でこのバージョンのムーン・リバーを聞いた人も居ないのではないでしょうか。

詳しいことは過去エントリーに書いてあるので、興味があればお読み下さい。

Music From The Films Of Audrey Hepburn
Music From The Films Of Audrey Hepburn

ロミオとジュリエット (サントラ)

有名な「ロミオとジュリエット」のサントラです。2 曲目の「Romeo's Foreboding And The Feast At The House Of Capulet」を聞きました。ロミオが宿敵カプレット家の仮面パーティーにこっそりと忍び込んだら、ジュリエットに初めて出会い二人が恋に落ちてしまうシーンです。

二人が出会う前後、吟遊詩人によって歌われるのが「What is a Youth」。俗に言う、ニーノ・ロータの「ロミオとジュリエットのテーマ」です。この曲には多くのカバーがありますが、多くが「What is a Youth」のオリジナル・メロディーをカバーしたものではありません。ある程度年配の方なら、このテーマ曲をご存じでしょうけど、オリジナル・メロディーは違うんだよ! と聞かせたくて持っていきました。

Romeo & Juliet
Nino Rota
Romeo & Juliet
曲名リスト
1. Prologue (Prince)
2. Romeo's Foreboding And The Feast At The House Of Capulet
3. The Balcony Scene
4. Romeo & Juliet Are Wed
5. The Death Of Mercutio And Tybalt
6. Farewell Love Scene (Juliet's Bedchamber)
7. The Likeness Of Death
8. In Capulet's Tomb (Death Of Romeo & Juliet)
9. All Are Punished

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The Rose

手嶌葵による映画音楽のカバー・アルバムです。7 曲目の「What is a Youth」を聞きました。手嶌葵と言われてハテナと思う方も多いと思いますが、あのジブリ映画「ゲド戦記」で「テルーの唄」を歌った歌手さんです。

サントラ盤と手嶌葵カバー盤の「What is a Youth」聞き比べになりました。実は、私はこのアルバム「The Rose」で「What is a Youth」を初めて聞き、今まで聞いてきた「ロミオとジュリエットのテーマ」とは違うメロディーが入ったことに驚いたのです。そしてサントラ盤を買い、映画を見たのでした。

サントラ盤は Glen Weston という人が歌っていて、何とも吟遊詩人らしい素晴らしい演奏です。それが良い。ですが、サントラ盤はロミオがパーティーに忍び込むシーンから初まって、人の喧騒、etc. のあと数分してからようやく曲が始まります。待ち時間が長くてしょうがありません。

一方、手嶌葵盤はこの「The Rose」で最高の歌唱であると同時に、オリジナルのメロディーを崩さず、大満足な仕上がりです。サントラ盤と比べると、ちょっとポップな感じでしょうか。時間がない時とかによく手嶌葵盤を聞きます。

流石に「The Rose」の LP 盤はないでしょう。サントラ盤の LP は見つかるかもしれませんが、この聞き比べがしたかったので (ちょっと自分のルールを破って) 持っていきました。

The Rose~I Love Cinemas~
手嶌葵
The Rose~I Love Cinemas~
曲名リスト
1. The Rose(1979/米 映画「ローズ」より)
2. Moon River(1961/米 映画「ティファニーで朝食を」より)
3. Calling you(1987/西独 映画「バグダッド・カフェ」より)
4. Raindrops Keep Falling On My Head(1969/米 映画「明日に向って撃て!」より)
5. Over the rainbow(1939/米 映画「オズの魔法使」より)
6. Beauty And The Beast(1991/米 映画「美女と野獣」より)
7. What Is A Youth?(1968/英・伊 映画「ロミオとジュリエット」より)
8. Alfie(1966/英 映画「アルフィー」より)
9. The Rose(extra ver.)

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モーツァルトのレクイエム (Christoph Spering)

この CD の面白いところは、二種類のレクイエムを収録しているところです。モーツァルトのレクイエムは未完に終わり、第子のジュスマイヤーが補完したことは良く知られていますが、本 CD はジュスマイヤー補完版 (一般のモーツァルトのレクイエム) と、ジュスマイヤーが補完する前のモーツァルト自身の筆によるレクイエムが収録されています。

これも流石に LP は出ていないでしょう。

聞いたのは、モーツァルト自筆版のラクリモーサとアーメン・フーガです。モーツァルトがラクリモーサの途中で絶筆となったことは有名です。井上太郎の「わが友モーツァルト」(p.76) から二行引用しましょう:

八小節目でペンは永遠に止まる。

低音部旋律は奇しくも、彼が晩年に傾倒したバッハの名を音で描いていた。

ジュスマイヤー版を聞いていると、八小節目がどこなのか分かりません (楽譜でも読めないとね)。しかし、Spering 版では音楽が唐突に止まるのです。闇の中に消えて行くような、深淵を覗くような虚無感。これを聞いてもらいました。

もう一つ。アーメン・フーガは 1961 年に発見されたもので、ラクリモーサの最後にモーツァルトが付け加えるはずだったもの、と言われています。たった 16 小節しかありませんが、至極の美しさなので一緒に聞いてもらいました。この曲も、フーガとして未完。曲が途中で終わった時の悲しさは、比類がありません。

Requiem (Sussmayr & Orig Unfinished Version)
Wolfgang Amadeus Mozart
Requiem (Sussmayr & Orig Unfinished Version)
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Eterna Collection

ギュンター・ラミン (Günter Ramin) のバッハ・ボックスです。カンタータで 9 枚、ヨハネ受難曲で 2 枚、オルガン演奏で 1 枚、計 12 CD から成ります。3 枚目の 1 つ目のカンタータ「すべてはただ神の御心のままに (Alles nur nach Gottes Willen, BWV.72)」の第一曲から第三曲までを聞きました。

セント・トーマス教会はバッハがカントール (音楽監督?) を務めた教会です。ラミンはバッハから数えて 12 代目のカントールになります。正にバッハの正統ですね。ラミンの第子には、同じくバッハ演奏で有名なカール・リヒター、ヘルムート・ヴァルヒャなどがいます。

さて、この三曲目が凄い。第二曲の静かなアリオーソから動のアリアへ! 曲の構成はアルト (ボーイ・ソプラノ!) とヴァイオリンが交互に歌い、クライマックスに二つの旋律が一緒に奏でられ二声の対位法になるというもの。ところが、このヴァイオリン部分。なんと 2 丁のヴァイオリンと通奏低音による 3 声のカノン (もしかしてフーガ?) になっているのです。つまりクライマックスは、アルトとヴァイオリンの二声の対位法に更に 3 声のカノンが含まれるという構成。もう、バッハの凄まじさに圧倒されるばかりです。

Cantatas Passion Organ Works
Johann Sebastian Bach

B0007OP694
Berlin Classics 2008-10-25
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現在、Amazon では在庫切れ。HMV では取り寄せできるようです。

The Art of Youra Guller

最後の一枚は幻のピアニスト、ヨウラ・ギュラー (Youra Guller) のアルバム。曲はバッハの「幻想曲とフーガ BWV.542」です。

私がこの CD を手に入れた頃、ヨウラ・ギュラーの CD はたった 2 枚しか存在しない。しかも、全て廃盤という状況でした。もう本当に幻のピアニストでした。最近は、放送録音などが発掘され、複数の CD が発売されるようになりました。ファンとしては嬉しい限りです。LP で買うと、きっと高いんでしょうねぇ。

バッハの「幻想曲とフーガ BWV.542」は本来オルガンの曲ですが、ギュラーはリスト編曲のピアノ版を弾いています。その演奏の素晴らしいこと!! リストの人生はこの編曲をするためだけにあったのではないかと思うほどです (言い過ぎ :p)。ギュラーのピアノはフーガに入ってから、更に輝きを増します。

Art of Youra Guller (Prelude & Fugue/Ballade 4)
Claude-Béninge Balbastre

B0000037BU
Nimbus Records 1992-12-02
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あとがき

今回紹介した CD は全部お気に入りの CD です。オードリー・ヘップバーンのムーン・リバー以外エントリーにしていませんが、いずれ単独のエントリーで一曲ずつ紹介したいと思っています。

追記 (2011-07-02)

本エントリーで紹介した CD の単独エントリーを書きました。気になる CD がありましたら、どうぞお読み下さい。

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