Art of Youra Guller (Prelude & Fugue/Ballade 4)
Claude-Béninge Balbastre
Nimbus Records 1996-11-01
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ヨウラ・ギュラー (Youra Guller; 1895-1980) は幻のピアニストの一人。録音枚数が少なく、私がこの CD を買った時、CD は 2 枚しか存在しませんでした (もう一枚はベートーヴェンのピアノ・ソナタ 31, 32 番)。ほとんどジャケ買いで買った一枚が、幻の一枚だったことに驚きを禁じえません。最近では再評価が進み、放送録音や埋もれていた録音が再発掘されています。
この CD に収められた曲は全て素晴らしいのですが、特に良いのが 1 曲目。バッハの「幻想曲とフーガ ト短調 BWV 542」(リスト編曲版)。リストのクラシック界の生存意義は、バッハのこの曲をピアノ版に編曲するためにあったのではないか? とさえ思ってしまいます (言いすぎ m(_ _)m)。それほどに、このピアノ版の演奏は素晴らしい。
一度は音大受験を試みた才媛との会話。
ぼく: 好きなピアニストは誰ですか?
相手: 居るには居るけど、知らないだろうなぁ。
ぼく: なぜ?
相手: 凄いピアニストなんだけど、録音が 1 枚しかないのよ。
ぼく: 誰です?
相手: ヨウラ・ギュラーって云うんだけどね。
ぼく: バッハの幻想曲とフーガ ト短調ですな。
相手: なんで分かった!?
ぼく: ギュラーといえば、この曲を挙げねばなりますまい。
相手: そう。とても良いよね。
とまあ、こんな具合。特にフーガ (俗に云う大フーガ ト短調) に入ってからの演奏が素晴らしい。音楽から天にも召されるような感動。ピアノだからこそ強調される強烈な打鍵!! オリジナル・オルガン版やオーケストラ編曲版では味わえないカルタシスです。
一時期は輸入も途絶えていましたが、最近のギュラー・ブーム (?) のお蔭か安定して給供されている模様。喜ばしい限りです。
収録曲
一応、収録曲を載せておきます。
- バッハ (リスト編): 幻想曲とフーガ ト短調, BWV 542
- バッハ (リスト編): 前奏曲とフーガ イ短調, BWV 894
- マテオ・アルベニス (1755-1831): ピアノ・ソナタ ニ短調
- クープラン: 花傘、またはやさしいナネット
- ラモー: 鳥のさえずり
- ダカン: タンバリン
- バルバトル (1724-1799): ロマンス ハ長調
- ショパン: 練習曲 ヘ短調, Op.25-2
- ショパン: バラード 第 4 番, Op.52
- グラナドス: アンダルーサ 〜 スペイン舞曲集, Op.37-5
- グラナドス: オリエンタル 〜 スペイン舞曲集, Op.37-2
マテオ・アルベニスは有名なイツァーク・アルベニスとはおそらく無関係です。
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