2011-06-23

Günter Ramin のバッハ・ボックス (12 枚組) を聞く

Cans/Passion/Organ Works
J.S. Bach

B0007OP694
Berlin Classics 2008-07-08
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ギュンター・ラミン (Günter Ramin) はセント・トーマス教会のカントールを務めた人です。

セント・トーマス教会は、ドイツはライプツィヒにある教会で、その教会の音楽監督をカントールと呼びます。セント・トーマス教会の名を有名にしたのは、J. S. バッハがライプツィヒの地で同教会のカントールを務めたことによります。バッハは毎週カンタータを作曲・演奏したと伝えられています。あのマタイ受難曲の初演も、このセント・トーマス教会なのだとか。

ラミンは、バッハから数えて 12 代目のカントールに当たります。バッハ直系 (?) のドイツらしい演奏を聞かせてくれます。CD が少ないのは、ラミンが古い人だからでしょう。ラミンの弟子にはカール・リヒター、ヘルムート・ヴァルヒャなどがいます。どれほど古い人か、推して知るべしですね。

CD について

この CD ボックスはカンタータ 9 枚、ヨハネ受難曲 2 枚、オルガン曲 1 枚で構成されています。私が一番好きなのは、3 枚目に入っている「すべてはただ神の御心のままに (Alles nur nach Gottes Willen, BWV.72)」。この感想は「なお & トラさん邸オーディオ・オフ会 (第 2 回) でかけた CD について」に書きましたが、再録しましょう。

さて、この三曲目が凄い。第二曲の静かなアリオーソから動のアリアへ! 曲の構成はアルト (ボーイ・ソプラノ!) とヴァイオリンが交互に歌い、クライマックスに二つの旋律が一緒に奏でられ二声の対位法になるというもの。ところが、このヴァイオリン部分。なんと 2 丁のヴァイオリンと通奏低音による 3 声のカノン (もしかしてフーガ?) になっているのです。つまりクライマックスは、アルトとヴァイオリンの二声の対位法に更に 3 声のカノンが含まれるという構成。もう、バッハの凄まじさに圧倒されるばかりです。

時間がある時には、「ヨハネ受難曲」も良いですね。カール・リヒターの厳粛な感じを更に強めた演奏です。モノラル録音 (rec. 1954) なのが非常に残念です。

収録曲

Amazon にも HMV にも収録曲の日本語訳がないので、ここに書いておきます。

  • CD1
    • 喜び勇みて羽ばたき昇れ (Schwingt freudig euch empor) BWV 36
    • 試練に耐うる人は幸いなり (Selig ist der Mann) BWV 57
    • 人々シバよりみな来たりて (Sie werden aus Saba alle kommen) BWV 65
  • CD2
    • イエスよ、いま讃美を受けたまえ (Jesu, nun sei gepreiset) BWV 41
    • 主よ、御心のままに、わが身の上になし給え (Herr, wie du willt, so schick's mit mir) BWV 73
    • わが神の御心のままに、常に成らせたまえ (Was mein Gott will, das g'scheh allzeit) BWV 111
  • CD3
    • すべてはただ神の御心のままに (Alles nur nach Gottes Willen) BWV 72
    • おのがものを取りて、行け (Nimm, was dein ist, und gehe hin) BWV 144
    • われは神の御胸の思いに (Ich hab in Gottes Herz und Sinn) BWV 92
  • CD4
    • 死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ (Halt im Gedächtnis Jesum Christ) BWV 67
    • この同じ安息日の夕べ (Am Abend aber desseligen Sabbats) BWV 42
    • 汝らは泣き叫び (Ihr werdet weinen und heulen) BWV 103
  • CD5
    • 泣き、歎き、憂い、怯え (Weinen, Klagen, Sorgen, Zagen) BWV 12
    • ただキリストの昇天にのみ (Auf Christi Himmelfahrt allein) BWV 128
    • 神は喜び叫ぶ声と共に昇り (Gott fährte auf mit Jauchzen) BWV 43
  • CD6
    • 讃美と栄光 至高の善なる者にあれ (Sei Lob und Ehr dem höchsten Gut) BWV 117
    • われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ (Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ) BWV 177
    • まじりけなき心 (Ein ungefärbt Gemüte) BWV 24
  • CD7
    • 心せよ、汝の敬神の偽りならざるかを (Siehe zu, daß deine Gottesfurcht nicht Heuchelei sei) BWV 179
    • 主を頌めまつれ、勢威強き栄光の主を (Lobe den Herren, den mächtigen König der Ehren) BWV 137
    • 汝なにゆえにうなだるるや、わが心よ (Warum betrübst du dich, mein Herz) BWV 138
  • CD8
    • 全地よ、神にむかいて歓呼せよ (Jauchzet Gott in allen Landen) BWV 51
    • キリストこそ わが生命 (Christus, der ist mein Leben) BWV 95
    • 主なる神は日なり、盾なり (Gott der Herr ist Sonn und Schild) BWV 79
  • CD9
    • 深き淵より われ汝に呼ばわる、主よ (Aus der Tiefen rufe ich, Herr, zu dir) BWV 131
    • 神の時こそ いと良き時 (Gottes Zeit ist die allerbeste Zeit) BWV 106
    • エルサレムよ、主を讃えよ (Preise Jerusalem, den Herrn) BWV 119
  • CD10,11
    • ヨハネ受難曲 BWV 245
  • CD11 オルガン曲集
    • トッカータとフーガニ短調 BWV 565
    • 前奏曲とフーガ ヘ長調 BWV 540
    • 前奏曲とラルゴとフーガ ハ長調 BWV 545 (Early Version)
    • 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV 545

関連・参考サイト

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