クラシック音楽評でいつも参考にしている鎌倉スイス日記さんが、パガニーニのカプリース Op.1 をルッジェーロ・リッチの演奏で取り上げてらっしゃったので、聞きてみたくなりました。
現在、リッチのカプリースはちょうど千円で買えるのでお手頃価格です。というわけで、Amazon で注文。昨日届いたので、今、聞きながらエントリーを書いているところです。
ルッジェーロ・リッチ (Ruggiero Ricci)
リッチは 4 回もパガニーニのカプリースを録音しています。しかも 1 回目の録音が、このカプリースの世界初全曲録音だったというから驚きです。今回、聞いているのは 2 回目。1959 年 4 月、ジュネーヴでの録音とのことです。
パッと聞きですが、リッチはどちらかというと美音系のヴァイオリニストではないようですね。美音系というと、グリュミオーとかフランチェスカッティを思い浮かべますが、むしろ対極にある音のように思います。音はクッキリ、ハッキリ。高音になると切れ味さえ感じる鋭い音が聞こえます。美音系が好きな人には、ちょっとおすすめできないかもしれませんね。
リッチの音程はとてもしっかりしたもので、ブレがありません。速いパッセージは速く、確実に弾いてゆきます。カプリースは難曲なので、これは大したものですね。
あとは初の全曲録音者という余裕でしょうか? 曲に変な手を入れていません。パガニーニの書いた楽譜を、その通りに音楽へと再現していく姿勢を感じます。技術が足りないと弾き崩したり、技術がありすぎるとやりすぎたりして、曲本来の良さをスポイルしてしまうことが多いのですが、リッチの演奏にはそういうものがありません。あくまで、普通に曲の良さを伝えてくれます。
例えば 9 曲目。1:10 過ぎの高域の美しいこと。歯切れの良いこと。うっとりとしてしまいます。でもこれがパガニーニを「普通」に演奏しているということなんだと思います。とんでもなく高度な技術が必要ですけど。
久しぶりに良い CD を聞きました。
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