2012-04-28

鏡―ゴースト・ストーリーズ 感想 〜 珍しい児童文学のホラー短編集

鏡―ゴースト・ストーリーズ

「鏡―ゴースト・ストーリーズ」は、ちょっと変わった短編集です。オリジナルは、1996 年の国際児童図書評議会世界大会で出版されたアンソロジーです。このアンソロジーにはちょっとした制限が付いていました。

  • 一つの国から一人の作家 (世界大会用なので)
  • 対象年齢は十二歳
  • 題材はホラー (短編)

オリジナル版には 11 の短編が収録されましたが、日本語版ではその中から六編を選んで訳出しています。

さあ、作家陣が豪勢です。日本からは「魔女の宅急便」の角野栄子 (邦題は彼女の作品「鏡」から取っています)。アメリカからは「闇の戦い」シリーズのスーザン・クーパー (life@aka の最初のエントリーはスーザン・クーパーでした!! 「闇の戦い」シリーズ第三作目の「灰色の王」でニューベリー賞受賞)。ニュージーランドからはマーガレット・マーヒー (「目覚めれば魔女」でカーネギー賞受賞)。私の好きな作家さんがこぞって参加しているではありませんか!!

題材がホラーなだけに、後味も普通の児童文学とは違います。そもそも、児童文学でホラーって珍しいですよね。それはさておき。マーヒーの作品は短編ながら大人向けよりも怖かったり、角野さんの作品も最後の最後でようやく光が見える仕上がりになっています。また、それぞれの国の文化がそのまま表現されているので、一冊読むと色んな国を見てきたような気分になります。どうせなら、6 編といわず全 11 編を訳出してくれれば良かったのに... とちょっと恨み事を言ってみたりして。

本書で初めて知ったカナダの作家、キット・ピアスン。なかなか面白かったです。日本にも本が訳されているようなので、図書館で探してみるつもりです。新しい作家との出会いというのも、アンソロジーならではですね。

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