2011-02-10

狼と香辛料 完結

狼と香辛料 (支倉凍砂・著、電撃文庫) が、全 16 巻で完結しました (最後の 15・16 巻は上・下巻発売)。

狼と香辛料〈15〉 太陽の金貨<上> (電撃文庫) 狼と香辛料〈16〉太陽の金貨〈下〉 (電撃文庫)

狼と香辛料 1-15巻セット (電撃文庫)
狼と香辛料 1-15巻セット (電撃文庫)

「ホロ、かわいいよ、ホロ」という名言を生み出したこのシリーズ。行商人ロレンス (♂) と賢狼ホロ (♀) のじれったいほどの心の結びつきを描いた良作です。正体は巨大な狼ながら、人の姿はかわいらしいホロ。見た目を裏切る「賢狼」ぶりと、何気にやきもち焼きなギャップが、こう心をくすぐりました。だから、「ホロ、かわいいよ、ホロ」なんて名言が生まれたんでしょうね。

物語は、行商人ロレンスを道案内に、ホロの生まれ故郷ヨイツを目指すというもの。ところが、ホロが故郷を発ってから数百年。ヨイツが何処にあるのかも分かりません。名前を変えたのかもしれないし、亡びたのかも分からないのです。ヨイツの情報を探すうちに、巻き込まれる事件と解決が、全 16 巻を通してのストーリーです。

「狼と香辛料」が他のライトノベルを大きく趣きを異にしたのは、主人公ロレンスを「商人 (行商人)」と置いたところでしょう。ファンタジーと商人の組み合わせというのは、初めてだったのではないでしょうか? 特に一巻目は貨幣に関する経済をミステリー風に扱った名作でした。

以降、「商人」としての「勝負」に勝ったり負けたり (得したり損したり) しながら巻数が進みます。「経済」の話をすると、一作目が「経済」本格ミステリー風だったのに対して、他の作品は「経済」商人物語風になったのは少し寂しいところです。その分、ロレンスとホロの心の繋がりがよく描かれていて、読んでいて楽しいんですけどね。

最終巻、「太陽の金貨 (上・下)」では再び「経済」本格ミステリー風な趣きに戻りました。そんな中、ホロが「出会った頃のこと、久々に思い出さぬかや。」なんて問うてくるので、ロレンスだけでなくこっちの心までホカホカとしてきましたよ。

最終巻で、とりあえずロレンスとホロはお互いに共に歩む道を選びます (このハッピー・エンドは良かったぁ)。でも、いくつかの伏線は未回収。途中で分かれたコルのその後は? 女ながらロレンスを手玉にとる敏腕商人エープのその後は? などなど。でも、そんな伏線は

後日譚を丸ごとエピローグとして出します。(中略) 多分初夏刊行予定です。

とのことなので、楽しみに待ちたいものです。

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