ミステリーが好きな安宅です。最近、人が死なないミステリーにハマっています。きっかけになったのは、万能鑑定士 Q の事件簿シリーズ。今回紹介するのは、この Q シリーズの姉妹編「特等添乗員 α の難事件」です。
主人公は浅倉絢奈。Q シリーズの主人公・凜田莉子と同じ様に、彼女もまた勉強の出来ない娘でした。そんな彼女にも得意分野が一つ。水平思考 (ラテラル・シンキング) を行なうこと。水平思考は論理思考 (ロジカル・シンキング) と対をなす物の考え方で、論理を重ねるのではなく物事を複数の視点から考えて糸口を見つける思考法です。しかし、いかに水平思考が得意といえども、ある程度の論理力・一般常識がなければ解には辿り着けません。例えば 1 巻 44 ページ。
添乗員としての資質に関わる出題にも、絢奈はマイペースだった。『空欄を埋めなさい。ツアー中に急病人がでた。119 に電話して、まず□□□□と伝える』
正解は『急患です』または『緊急です』だろう。だが絢奈は独自性に溢れた答える記入していた。「もしもし」と……。
回答としては不十分ですが、間違っていないのが憎いところです。基礎知識が絶対的に不足しているんですね。これでは、折角の水平思考も宝の持ち腐れです。
しかし、そんな彼女に目を止めたのが壱条那沖。厚生労働省のキャリアにして、失策で左遷させられた不遇の男。彼は自分の師に頼んで、彼女の水平思考が発揮できるよう基礎能力の向上と水平思考の洗練を頼みます。
Q シリーズもそうですが、この「ダメな子」がキッカケ一つと努力で目覚ましく成長する姿がカルタシスを生むんですよね〜。絢奈は見事に添乗員の資格を入手。幾つものトラブルを解決しながら、遂に大口詐欺事件解決への協力を求められる様になります。
1 巻の途中からは万能鑑定士 Q シリーズの凜田莉子も登場。時系列的には、「万能鑑定士 Q の事件簿」が終わ玉て新シリーズ「万能鑑定士 Q の推理劇」が始まる前に当たります。どうやら、この 2 つのシリーズは主人公を交代させながら片方をサポート役に回す形を取りそうです。
α シリーズで嬉しいのは恋愛要素。作者・松岡圭祐は、過去のシリーズ「千里眼」「万能鑑定士 Q」において非常に恋愛の下手な女性主人公、かつ恋愛不得手な男性陣を配することで読者 (というか私) をヤキモキさせていましたが、α シリーズの那沖はやってくれました。ガツンと男らしい告白を! こういうのを待ってたんですよ。
1 巻では挫折・出会い・成長と恋愛を上手くミックスさせて謎解きが少し急転回でしたが、一冊だけで読むなら十分楽しめたかな、と。2 巻も発売済みなので近日中に手を入れて読みたいです。
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