2012-06-15

あだしもの 第 1 巻 感想

山本久美子作品が好きな安宅です。「あだしもの」の第 1 巻が発売されたのでレビューを書いてみます。

あだしもの 1 (ジャンプコミックス)

初めての方へ

初めて山本久美子の名前を聞く人に少し説明します。

山本さんは新進のマンガ家。連載前には三本の読み切りがあります。

特に「魔物 (スマーグ) は歌わない」は何度読み直しても落涙のハートフル・ストーリー。この一編で私は山本さんのファンになりました。

閑話休題。

山本さんはジャンプ SQ 2012/04 号 (3 月発売) から「あだしもの」の連載を開始しました。

第 1 巻 感想

「あだしもの」第 1 巻には第 1 話から第 3 話までが収録されています。

大筋は、怪異にとりつかれ自分の居場所を失っていた主人公・灰塚孝と、怪異に造詣の深いヒロイン・小町綾女を中心に学校を舞台に怪異の解決を行なっていくというもの。第 1 巻では、灰塚くんが「怪異現象調査部」という部活に自分の居場所を見つけ、人間の住む「人世 (ひとよ) 」と妖の世界「化野 (あだしの) 」の世界観を垣間見るところで終わっています。

形式は一話完結型。妖怪とのバトルよりも、妖との交流を通じて「心の悩み」とその克服に焦点が当たっているのが特徴的。「怪異現象調査部」のメンバーも少しずつ名前を出し始めて、物語も大きく広がりそうな雰囲気です。一話一話のハートフルなストーリーの中に、小さく伏線を張るのも忘れません。というか、読み切りでは伏線の張り方で読者を唸らせた山本久美子。実にサラリと伏線を張ってゆきます。

例えば、第 2 話における小町さんが怪異現象調査部に居る理由。「——助けたい人が居るの」。さて誰なんでしょう。いつ登場するんでしょう。どうやって助けるんでしょう。まだまだ世界観の一部しか見せていない「あだしもの」。第 2 巻以降の進展が楽しみです (私の読みですが、大きく物語が動くのは 4 巻目以降かと。それまでゆっくりこの人世と化世の世界観を描いていくんじゃないかと思っています)。

あだしもの 1 (ジャンプコミックス)
あだしもの 1 (ジャンプコミックス)

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