2011-11-26

耳をすませば (柊 あおい) を読む

昨日のエントリーでカントリー・ロードに触れたので、原作マンガの「耳をすませば」が読みたくなって再読しました。

耳をすませば (集英社文庫)
柊 あおい

4086183382
集英社 2005-07-15
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原作版と映画版の大きな違いは、主人公二人の関わり合い方です。

映画では「音楽」が二人を結びつけるきっかけになりました。原作では、「本」が二人を結びつけるきっかけになります。本好きの私は、図書館の図書カード (懐かしいなぁ!) で名前を知る原作のエピソードが大好きです。原作における「耳をすませば」というのは、主人公・月島雫が心の中に描く心象風景。心の中の水面に水滴が落ちる「音」を「聞く」ということを指しています。感動した時、心が大きく動いた時、ドキドキした時に、心の中で「音」がする。なんともロマンチックではありませんか。

映画版も良く出来ていますが、私は「本」が好きなので、原作版の方が好みです。

ちなみに「耳をすませば」には続編も書かれています。題名は「耳をすませば 幸せな時間」。本編の後日譚です。私が持っている集英社文庫には本編「耳をすませば」と「幸せな時間」の両方が収録されているので、ちょっとお得です。作品の出来は... 本編の方が好きですかね。

2011-11-25

ジョン・デンバーの RCA Complete Recordings ボックス

Amazon で ジョン・デンバー (John Denver) の Complete Recordings が発売されています。11 月 22 日発売。25 枚組。値段は 8,533 円 (一枚当たり 341 円)。現在は一時的に在庫切れになっています。発売直後ですから、おそらく予約量が多くて CD を確保しきれなかったのでしょう。

John Denver - Complete Albums
John Denver

B005LTDP8Y
Pid 2011-11-22
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ジョン・デンバーは「カントリー・ロード」の名曲で有名なカントリー歌手です。

カントリー・ロード。良い曲ですね。最近は、ジブリ映画「耳をすませば」に使われたオリビア・ニュートン・ジョンのカバーに影を薄くしていますが、オリビアのカバーはポップ調。ジョン・デンバーのオリジナルは、カントリー風の何とも郷愁を誘う名唱です。どちらも良いので、オリビアのカバーだけ知っている人には、是非オリジナル版も聞いて欲しいですね (もちろん、こんな大ボックスを買う必要はありませんが)。

収録アルバムについて

本ボックスは「RCA Complete Recordings」です。ここで「RCA」とつくのがミソですね。英語版ですが、ジョン・デンバーのディスコグラフィーがあったので、少し見てみます。

ジョン・デンバーは 1965 年に The Mitchell Trio としてファースト・アルバムを製作。The Mitchell Trio としてのアルバムは 4 枚作られ、うち 3 枚が Mercury レーベル、1 枚が Reprise レーベルです。

翌 1966 年、ジョン・デンバーは自主製作アルバムを作成。

1969 年、RCA レーベルからソロ・デビュー・アルバムをリリース。以降 23 枚のスタジオ・アルバムをリリース。RCA レーベルでの録音は 1969 年から 1983 年までの 18 枚。1989 年から 1991 年まで Windstar レーベルに 4 枚のアルバム、1997 年に Sony Wonder レーベルに 1 枚。

この他、ライブ CD が 9 枚あります。うち 5 枚が RCA レーベル。2 枚が Legacy レーベルであとは AAO Music レーベルと Collector's Cohice Music レーベルに 1 枚ずつ。

ここまでで、RCA レーベルに残した CD は 23 枚。残る 2 枚は何でしょう? ベスト盤はないと思いますが... う〜ん、ディスコグラフィを見るとクリスマス・アルバムを RCA レーベルに 5 枚残しています。うち 2 枚を選ぶのでしょうか?

ボックスが届いたら、また記事を書きます。

See also

2011-11-24

江東シティオーケストラの第 35 回公演に行ってきました

11 月 23 日 (水・祝)、江東シティオーケストラの第 35 回公演に行ってきました。

コンサート・プログラムは以下の通り:

  1. リスト: 交響詩「前奏曲」
  2. ハイドン: テ・デウム 第2番
  3. 休憩
  4. ブラームス: 交響曲 第1番

感想

まずはリストの「前奏曲 (レ・プレリュード)」。リストの交響詩には馴染みがないので、家にある CD を引っ張り出して予習して行きました。おかげで音楽を余裕を持って楽しむことができました。コンサートでは冒頭の弦全員で弾くピッツィカートの緊張感が半端なかったです。頭の方ですから、音を外すと格好悪い。だから、しくじれないぞ! ってオーラを感じました。前半の合奏部分でバラツキが一部見られたものの、後半の弦は綺麗にまとまっていました。あと、管楽器の人達が上手でした。ちょっと元気出すぎなパートもありましたが、総じてとても良かったです。

続いて、ハイドンのテ・デウム 第2番。初めて聞く曲です。私も CD を持っていないので予習できてません。また、このオーケストラとしては珍しいことに合唱団 (カントゥス・ハルモニアとコール・ジューン) 付きの曲の演奏です。さて、ハイドンの宗教曲。しかも合唱団との共演!? 曲も無名だし、合唱団と一緒にどれだけ練習できたのか怪しいもの。全く期待していませんでした。これが大間違い。

ハイドンのテ・デウム。名曲です!!

今までハイドンの宗教曲を軽く見ていた自分を恥じねばなりません。たった八分ほどの曲ですが、合唱とオーケストラが融合した傑作です。演奏の方も、ハイドンの時代の曲は編成が小さいので、上手い人達ばかりが残って演奏していました。これがまた良かったのでしょうね。加えて、合唱団の上手なこと!! 女性パートに比べて男性パートに人が少なく、男声の声量が小さく聞こえたのが玉に瑕ですが、合唱団のレベルは高い。今回のコンサートで一番の出来でした。

休憩に入る前に、アンコールを一曲。モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。曲のイントロに入る前から、勘でこの曲をやるな! と思いました。合唱団はここで自身のレベルが低くないことを、もう一度証明しました。しかし、モーツァルトは天才ですね。アヴェ・ヴェルヌ・コルプスは美しすぎます。ハイドンのテ・デウムが少し霞んでしまうじゃないですか。

休憩後はブラームスの第1番。誰もが知っている名曲です。それがいけないんでしょうかね? 感動小さめでした。弦はほどほどなのですが、管が壊滅的なのにびっくり。前奏曲で聞かせた名演はどこへ行ったんでしょう。それとホルン。音程を取るのが難しい楽器です。ブラームスの第1番はこのホルンが比較的活躍する作品。聞いてると、そこかしこで音が... 選曲ミスじゃないかしらん。あ、でも一番のホルンの見せ場はミス無しでた。きっと沢山練習したんでしょうねぇ。ほとんどソロな上に、曲が盛り上がるところですから。この努力にはブラボーです。

第4楽章のコーダに入ると、オケが変わったんじゃないかと思うほどに変貌。絃が揃い、推進力が増し、一気に盛り上がって曲を締めました。それまでの演奏のボロを吹き飛ばす様な演奏でした。聞いてる私も、熱いコーダに胸も熱くなりました。おそらく、指揮者の人はそれを狙っていましたね。あざといというか、聞かせ上手というか。終わり良ければ全て良し! です。

ブラームスの後にアンコール・ピースが一つありました。しかし、曲名が分かりません。家で何度か聞いたことのある曲なのですが、曲名が出て来ません。小骨が喉に刺さっている様なイヤ〜ンな感じです。

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2011-11-23

マイケル・レビンのスタジオ録音集を買う

アメリカのヴァイオリニスト マイケル・レビン (Michael Rabin)。1936 年生まれ。1972 年没。たった 35 歳で亡くなったヴィルトゥオーゾです。

私は彼の録音を聞いたことがありません。しかし、噂は嫌でも耳に入ってきました。曰く「ハイフェッツの再来」。パガニーニの「24 のカプリース」の代表盤。等々。

没後 40 周年

今年は、そのレビンが亡くなってちょうど 40 年になります。そこで、レビンの CD が多く復活するようになりました。特に嬉しいのは、レビンのスタジオ録音を集大成した 6 枚組のボックスが復活したことです。さて、このスタジオ録音。二つのレーベルから出ています。一つは EMI。もう一つは Testament です。

この 2 つのボックス、収録曲は違うのでしょうか? 少し調べてみました。曲目リストは HMV にあります。

結論を書きますと、収録曲は全く同じです。収録順が違うくらい。一点、EMI 盤の方に「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調作品27の3(1楽章のバラード)」という記述があって一部しか収録していないのではないかと心配にさせますが、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第 3 番は 1 楽章しかない曲でその 1 楽章目が「バラード」なのでこう書かれているだけです。ですから、全く心配の必要はありません。

収録曲が同じなら、どちらを買おう? という話になりますよね。

一般に Testament は古い録音の復刻に定評のあるレーベルです。一方、EMI はスタジオ録音をしたオリジナル・レーベルというアドバンテージがあります。どちらの方が音質が良いかは一概に言えないことです。誰か 2 つを聞き比べて下さるとありがたいのですが Xp

値段も比べてみましょう。2011 年 11 月 23 日現在の値段を表にしてみました。

販売元EMI 盤Testament 盤
Amazon4,355 円6,448 円
HMV1,904 円5,286 円

HMV での値段はマルチバイ価格です。Amazon での Testament 盤の扱いは 12/13 日からとなっています (HMV は発売中)。値段だけ見ると、HMV の EMI 盤が最安です。

注文

EMI 盤と Testament 盤の音質の差が分かりません。困ったことです。

値段を比べると、HMV の EMI 盤が圧倒的です。この安さにやられてしまいました。

そんなわけで私は HMV で EMI 盤を購入しました。届くのが楽しみです。

2011-11-18

ジェノサイド (高野 和明) を読む

ジェノサイド
高野 和明

4048741837
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-03-30
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最近話題の「ジェノサイド」を読みました。作者は高野和明。590 ページ。

内容は厚さに見合う素晴らしいものでした。ダン・ブラウン (代表作: ダ・ヴィンチ・コード) がやるような奇抜なアイデアと謎解きを、トム・クランシー (代表作: レッド・オクトーバーを追え) の重厚な構成で仕上げた様な作品。最後はスッキリと心の晴れるハッピー・エンド。

ストーリーは 2 パート構成。元特殊部隊のジョナサン・イエーガーがリーダーとなってコンゴで秘密作戦に携る比較的アクション・シーン多めなパートが 1 つ。大学院教授の父の急死を経て、研究の引き継ぎを依頼される遺書を受け取る大学院生・古賀研人の動きを追う謎解き要素の強いパートが 1 つ。2 つのパートは独立に動き始め、次第に絡み合い物語は佳境へ。

あえてネタバレは書きませんが、アメリカ CIA・NSA・ホワイトハウスが絡む大風呂敷。そして数々の謎。イエーガーの携る秘密作戦の目的は何なのか? アメリカは何がしたいのか? 古賀研人に託された研究の目的は何か? イエーガーと古賀研人はどのような関係にあるのか? 謎の回答を一つ一つ提示するごとに、スピード感を増す展開。見事にまとめた大団円。読み始めたら、一気に読んでしまう一冊です。

2011-11-17

小悪魔アザゼル 18 の物語 (アイザック・アシモフ) を読む

アイザック・アシモフは私が大好きな作家の一人です。世間的には SF 御三家の一人として有名ですね。そんなアシモフの短編集と言うと、大まかに三つに分類されます。1 つは SF のロボット物。もう 1 つはロボット物以外の SF 短編。そして最後にミステリー短編 (黒後家蜘蛛の会ユニオン・クラブ綺談) です。

今回、紹介する「小悪魔アザゼル 18 の物語」はこれらの短編とは一線を画す短編集です。一言で言えばブラック・ユーモア集。ジャンルは現代を舞台にしたファンタジー。実は、これらの短編を SF として書く話もあったそうなのですが、紆余曲折を経てファンタジーに定着。ここら辺の話は、後書き・前書きを書くのが大好きなアシモフ氏自身が「長い前書き」を書いているので、そちらを参照して下さい。

「アザゼル」は、作者(アシモフ自身) が「2cm の悪魔」を呼び出せると豪語するジョージから上手く話を聞き出す、という形式。ジョージは金払いが悪く、人からお金をせびることばかり考えているような人間。しかし、彼の話の中では、周りの人達に信頼されて相談を持ちかけられずにはいられない好人物と描かれています。いやいや、君はそんな人を信頼させられる様な人間じゃないよ... なんて作者(アシモフ) も考えながら、ついついジョージに気を許してしまう辺り、読者としてはおやおやと思ってしまいます。

さて、黒後家蜘蛛の会をお読みの方ならご存じでしょうが、アシモフは後書きすら書くのが大好き。普通、短編小説には最後に後書きを書くものなのに、アシモフは短編ごとに後書きを書いています。で、その文体が面白いのですね。ちょっと高慢で何でも出来るぞ、ってな態度で書いているのです。でも、これが不思議と気を悪くしないんですね。

本編に出てくるジョージは、正にそんなアシモフ像をそのまま主人公にして、お金と女に弱くした感じ。つまり、アシモフの分身であるジョージの話を、作者(アシモフ) が聞いて本にしている。という、ちょっと面白い構成を取っています。なので、ジョージが作者をバカにする台詞も、アシモフが自分自身をネタに自虐ネタをやっているというブラック・ユーモアになっています。そして、ジョージがお金もうけを考えて、「悪魔アザゼル」に願いごとをして失敗に終わる、という毎回のお話も、アシモフ自身の毒が入っていてまた良いんですね。何が良い? アシモフの高慢な姿が「読者への仮の姿」であり、ブラックなドギツさが薄められるのが良いんです。

レーガン大統領のジョーク

「天と地と」という短編では、例外的に作者(アシモフ) の長舌が入ります。そこで話題になるのは、レーガン大統領のジョーク。短くて面白い。お気に入りなので、ここに引用します。

深刻化する国家予算の赤字に頭を抱えたレーガン大統領が、どうにか解決方法はないものかと物理学者にこうたずねた。二足す二はいくつだね? 物理学者は即座に答えた。四です、大統領閣下

レーガンは指を折って数えながらしばらく考え、納得がいかず、次に統計学者にたずねた。二足す二はいくつだね? 統計学者は少し考えてから、こう答えた。小学校四年生を対象に行った最新の調査結果から平均値を求めましたところ、大統領閣下、約四となっております。

けれども問題は国家予算なので、レーガンは結局その分野の第一人者に相談すべきであると考え、今度は経済学者にたずねた。二足す二はいくつだね? 経済学者はブラインドを下ろし、素早くあたりの様子をうかがってから、こうささやいた。どのような答えをお望みですか、大統領閣下

痛烈な皮肉のこもった (特に大統領付きの) 経済学者へのブラック・ジョークです。

2011-11-11

7 時間目の音符 (ノート) 1巻目 (志摩 時緒) を読む

7時間目の音符(ノート) (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
志摩 時緒

4832240838
芳文社 2011-11-11
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楽園 Le Paradis」というマンガ雑誌を購読しています。2・6・10 月の年 3 回刊行という、非常にローペースなマンガ雑誌です (現在、最新号は Vol.7)。二宮ひかるを中心としたマンガ雑誌と言えば、分かる人には分かるでしょうか。

その Vol.5 から始まった新連載「あまあま」に、やられてしまっています。高校生の交際を描いたホノボノ・ニヤニヤ系マンガです。作者は志摩時緒。

ここまでが前振り。

先日、この志摩時緒氏がまんがタイムきららフォワードにも連載を持っていることを知りました。題名は「7時間目の音符(ノート)」。単行本一巻が 11/11 発売とのこと。予約して、本日、本が届きました。

高校の吹奏楽部を舞台に、主人公二人・冴木あずみ(先輩) と吉野葉平(後輩) のイチャイチャを描くストーリー。帯には「ああ〜もう、この二人のイチャイチャっぷりは…!!! …と、悶え転がりたい方のためのイチャラブコメディー!」。もう、そのまんまです。

少女マンガの恋愛ものは、ライバルや障害を用意してストーリーに起伏を付けるものですが、最近はそういうのに疲れてしまって... そんなにモテるわけないでしょ、とか。そういう設定は面白いけど、現実的じゃないよね、とか。毎日コッテリしたものを食べると、疲れるのと同じ感覚と申しましょうか... ちょっと食傷気味。

「7時間目の音符」は、恋人になった後。でも、下の名前を呼び合うことにお互いまだ慣れてない。そんな生々しい二人の学園生活を描いています。これがニヤニヤで、ホッと心に沁みるんですな。1 巻目ということで、まだまだ巻数は続きそう。二巻目も楽しみなマンガです。

蛇足

楽園に連載中の「あまあま」も単行本化されると良いな。

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