2009-03-23

世界最速のインディアン (The World's Fastest Indian)

映画好きの友人お勧めの映画。題名に「インディアン」と入っているので、どんなアクション映画かと思っていました。

違いました。ヒューマン映画でした。それも、かなり上質のヒューマン映画でした。恋愛とか社会派なんて難しいことの一滴も入っていない、純粋なヒューマン映画でした。

題名の「インディアン」はオートバイの名前、1920 年型インディアン・スカウトのこと。そのオートバイで最速を目指す男、バート・マンロー (Herbert James Munro, 1899/03/25-1978/01/06) の世界記録樹立をクライマックスに描く伝記映画だったのです。

史実については、Wikipedia にいくらか説明があります。

あと、シネマの舞台裏さんの解説が詳しいです (バート・マンローの伝記を読んでらっしゃるようです)。

主人公マンローは、ニュージーランドからアメリカに渡り、ボンヌビル・スピードウィークで世界最速を目指す男です。このマンローが、とってもマイペースな男なんですね。年金暮らしなものだから、お金もない。なので、身の回りのものでバイクを改造するんです。アメリカに行くのにも船の手伝いをして旅費を浮かし、車を買いに入った中古車屋ではエンジンの調節をしてありがたがれ、トレーラーの車軸が壊れれば通りがかりのインディアン (人の方ね) に助けられ。そんなこんなでボンヌビルに来てみたら、事前登録していないので参加を拒否されちゃうんですね。舞台は 1960 年代なので、インターネットもありません。地球の裏側からやって来たら、そんなこともあるでしょう。でも、マンローの諦めない心と周りの人達の厚意で、なんとかテスト・ランの許可が降ります。「たまにはルールを曲げることも大切だ」なんて大会委員に言わせてね。みんな、40 年も前もオートバイがちゃんとレースできるなんて思ってないわけです。ニュージーランドから来たおじいちゃんの心に応えよう、なんてそんな気持ちですね。そしてテスト・ラン。ギアを一つ上げて、監視の車を追き去りにするインディアン・スカウト! スタート地点に戻って来たマンローに、大会委員が寄って来て言います。「あのトップギア… すごかった」マンローは首を振って応えます。「ずっとセカンドのままだった」。と、ネタバレはここまでにしておきましょう。

諦めないで頑張ってると、周りも何かしてあげたくなっちゃう。心温まるストーリーが、世界最速のインディアンの中にはあります。バート・マンローを演じるのはアンソニー・ホプキンス。彼の演技も、この作品に深みを出しているのでしょう。おすすめです。

世界最速のインディアン スタンダード・エディション [DVD] バート・マンロー スピードの神に恋した男

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