2008-08-31

2008 年第 35 週に借りたもの

ザ・シーカー 光の六つのしるし

「シーカー」というと、ハリー・ポッター世界で行なわれる競技「クィディッチ」のエース・ポジション。おおっ、と思ってパッケージに目が留まりました。で、解説を読んでみましたが、全くの別物でした。本作のシーカーはハリポタとは全く関係がありません。

というか、私が大好きなファンタジーの映画化でした orz。

数年前に映画化権が売られたと聞いて、映画化を楽しみにしていました。それが、気づかぬ内に公開されて、しかも DVD になっていたとは! ファン失格です (;_;)。

感想は別エントリーに。

一言で言えば、「見ない方がよろしい」かと。だいたい、映画化されたのに「全米一位」の声も聞かなければ、映画雑誌にも載らない。噂にもなっていない。気付いたら DVD 化されている。この時点で嫌な予感はしたんです (ToT)。

ザ・シーカー 光の六つのしるし

キングダム 4〜9 巻 (原泰久)

今、ヤング・ジャンプの連載陣で私がイチオシの作品 (あと嘘喰いも面白いです)。秦の始皇帝時代を描く時代もの・アクションものです。

私は雑誌派なので、コミックは買っていません。でも、友達が 4 〜 9 巻を買ったというので借りました。一気に読むと、またアツいですね。

キングダム 4 (4) (ヤングジャンプコミックス) キングダム 5 (5) (ヤングジャンプコミックス) キングダム 6 (6) (ヤングジャンプコミックス) キングダム 7 (7) (ヤングジャンプコミックス) キングダム 8 (8) (ヤングジャンプコミックス) キングダム 9 (9) (ヤングジャンプコミックス)

2008-08-30

「ザ・シーカー 光の六つのしるし」がひどい件

「ザ・シーカー 光の六つのしるし (The Seeker - The Dark is Rising)」の DVD を借りました。この作品は、児童文学「闇の戦い」シリーズの一作目「光の六つのしるし」を映画化したものです。

私は、原作「光の六つのしるし」の大ファンです。中学時代、一番好きなファンタジーは「光の六つのしるし」でした。当ブログで、3 つ目のエントリーで取り上げたのは「光の六つのしるし」でした (これは当ブログの最初の書評エントリーでもありました)。

ザ・シーカーはひどい

しかし、映画「ザ・シーカー」はひどい出来でした。泣きたくなるほど原作が改変されていました。ここは一つ、旧書評エントリーを引きながら、ザ・シーカーの改変具合を紹介してみましょう (以下、ネタバレありです)。

「闇の戦いシリーズ」は、アーサー王伝説を下敷きに<光>と<闇>の時間を越えた戦いを描いたファンタジーです。時間を越えるといってもタイムトラベルを繰り返す冒険活劇ではなく、失われた都市を訪ねたり、微かな音楽の調べとともに時間の門が開いたり、旅人が各地を巡るように主人公たちは静かに時の流れを巡ります。

life@aka: The Dark Is Rising より引用

「時間を越えるといってもタイムトラベルを繰り返す冒険活劇ではなく」。。。思いっきり、タイムトラベルを繰り返していました。ほとんど SF 映画でした。

「失われた都市を訪ねたり」。。。訪ねませんでした。

「微かな音楽の調べとともに」。。。微かな音楽なんてどこ吹く風です。どんな音楽を作曲しているのか、とっても楽しみだったのに!!

「音楽の調べとともに時間の門が開いたり」。。。現れませんでした。これも、どう映像化するか楽しみだったのに! 植物が丁度ゲートみたいな形を作ってて、そこを通ると時間を遡るみたいな、お手軽な映像化で済ませられていました。

「主人公たちは静かに時の流れを巡ります」。。。行く先、行く先で争いが起きているのは何故でしょう。全然、静かじゃないです。

では原題の「The Dark Is Rising」は何に由るかというと、これはシリーズ全体で詠われる予言の詩 (後略)

life@aka: The Dark Is Rising より引用

ファンとしてはとても残念なのですが、この予言の詩は現れませんでした。「The Dark Is Rising」というシリーズ名を、この作品は消し去りたいようです。

<光>との何千年にも渡る争いに、終止符を打つべく<闇>の軍勢が起ち上がる。「光の六つのしるし」は、そんな不穏な影が忍び寄るクリスマスの朝から始まります。雪のちらつく中、次第と牙を剥く<闇>の脅威。主人公のウィル・スタントンは、11 歳の誕生日を迎えたその日に、<光>の最後の<古老>たる力に目覚めるのです。

life@aka: The Dark Is Rising より引用

「不穏な影が忍び寄るクリスマスの朝から始まります」。。。始まりませんでした。クリスマスが始まるまで、学校行ったり、部屋の中で過ごしたり。非常に退屈な家族模様を見せつけられます。何時になったら本編に入るのかと、突っこみたくなりました。でも、後になって、これは伏線なのだと分かりました。

「主人公のウィル・スタントンは、11 歳の誕生日を迎えたその日に」。。。ウィルは 14 歳になりました! 「1 が二つ並んだな」という象徴的で印象的な台詞も、当然出てきませんでした。11 歳というのはハリー・ポッターがホグワーツに入学した歳です。二つの映画の二人の 11 歳をを観比べるのを楽しみにしていたのですが (以下略)。

まだまだあるよ

まだまだあります。

映画お決まりの改変も盛り沢山です。家族構成はメチャクチャです。スタントン一家はアメリカ人です。グウェンはウィルの妹です。しかもウィルは双子です。その片割れは、赤ちゃんの時に誘拐されてます (ビックリ)。そしてウィルは恋をします (何の映画?)。

古老最強の老婦人は、ヘビに襲われて「ウィル急いで〜」と叫んでます (泣!)。最初の古老メリマンは、小五月蝿いばかりです (あなた、正体は魔法使いマーリンでしょうが! orz)。最後の古老ウィルは、いつまで経っても子供です。しかも先祖も古老です (へ〜)。その先祖の古老が「六つのしるし」を作りました (もう好きにして!!)。

六つのしるしを探す順番もデタラメです。しかも、しるしは五つしか出てきません。最後の一つは、ウィル本人なんですって (奥さん、聞きましたっ!?)。もう、賢者の石はハリー・ポッター自身だとか、一つの指輪はフロド・バギンズだとか言われたって、驚きませんよ...

闇をやっつけたら、双子の片割れが家族に戻って来て、大学やめた兄も和解して、とにかく家族はハッピーになりました。ここポイントです。実はこの映画、「家族を守る」という映画だったのですね。本編に入る前に、退屈な家族交流を見せてくれてたのは、この伏線だったわけです。ウィルが子供なのも、恋をするのも、他の古老がおざなりなのも、み〜んな「家族」を映画の中心に据えた結果です。とってもアメリカンです。

末っ子が、家族の知らないところで、家族を守る。なんかホーム・アローンみたいですね

あとがき

映画版は見ないで、原作を読むことをおすすめします。そちらの方が有意義です。

ザ・シーカー 光の六つのしるし The Dark is Rising: The Dark is Rising / Greenwitch / Over Sea, Under Stone / Silver on the Tree / The Grey King 闇の戦い〈1〉光の六つのしるし (fantasy classics―闇の戦い)

2008-08-19

「ブラム学園! アンドソーオン 弐瓶勉作品集」 9/11 発売予定

2008 年 4 月に、こんなことを書きました。

さて、今回のアフタヌーンに、大きなニュースが一つ載っていました。それは、弐瓶勉氏のフルカラー短編集が出るという予告。仮題は「弐瓶勉総天然色短編集」。発売予定は 8 月とのこと。

中略

このフルカラー本。詳細が分かり次第、ブログに取り上げます。

life@aka: 「BLAME 学園! 〜桜咲く塔の下で〜」(弐瓶勉) より引用

もう八月も半ばですが、この短編集が発売されている様子はありません。調べてみたところ、題名及び発売日が変更されていました。

発売が一か月遅れているようです。値段は千円以下。財布に優しいです (二、三千円位いかと思ってました)。

Amazon での予約は、まだ始まっていません。

2008-08-18

レンタルマギカ 魔法使いの妹 (三田 誠)

8/17 (日) にようやく読み終えました。レンタルマギカの最新刊。本を入手してから、二週間遅れです。最近、忙しくてゆっくり本を読む時間を取ることが出来ませんでした。

今回は、短編集でした。「ザ・スニーカー」からの転載が二本。書き下ろし短編が二本。計四作です。

主人公たちの日常を描くほのぼのとした短編集ですね。進展としては、フィン・クルーダの台詞以外に特筆することはありません (というか、彼の台詞がこの短編集の全てみたいな...)。

作者曰く、「穏やかな時間は終わり、第二部のクライマックスとなる」そうなので、次巻が楽しみです。

レンタルマギカ  魔法使いの妹 (角川スニーカー文庫 177-14)

2008-08-17

二十面相の娘 (小原 愼司)

久しぶりに名作と出会いました。「二十面相の娘」というマンガです。作者は小原慎司。全 8 巻。コミック・フラッパーで連載。連載期間は、2003 年 5 月号から 2007 年 2 月号まで。

タイトルに現れる「二十面相」は、あの江戸川乱歩の怪人二十面相です。明智小五郎と小年探偵団のライバルで、人殺しが嫌いな快盗、二十面相です。名前だけタイトルに出しているとか、為者だとかいうのではなく、正統的な「二十面相」です。

舞台は、大戦が終わった後の日本。主人公は、お金持ちの一人娘・美甘千津子。通称チコです。両親を喪くし、財産を狙う叔母夫婦に毒を盛られる日々。賢明な彼女は食事を取らず、何とか生き長らえていましたが、それも限界に近づきます。そんなある日、美甘家の財宝を盗みに入った二十面相が言います。自分と一緒に来るか? と!

二十面相 (とその仲間) と暮らして、チコは二十面相から学びます。生き方と、闘い方と、したたかさと、生き残る方法を。そして、一番重要な考え方を。二十面相は言います。「自分で見て自分で聞いて自分で考える。これ以外に何かを成す方法はない」

二十面相はチコを後継者に選んだかのように、チコが二十面相を教師と選んだかのように、お互いの絆は深まります。

しかし、二十面相との逃亡生活すらも、この物語では序章にすぎないのです。

二年後、襲撃に遭い二十面相一味は四散。二十面相は汽車の爆発に巻き込まれ、生死不明。チコは探偵に見つかり、実家へと連れ戻されます。自分の命を狙う叔母のいる実家へと。仲間が連れ戻しに来てくれると信じながら、チコは待ちます。でも、誰も現れません。彼女は決心を固めます。二十面相の言葉を思い出しながら。

「自分で見て自分で聞いて自分で考える。これ以外に何かを成す方法はない」

迎えが来ないのなら、自分から二十面相を見つけよう (ここまでが二巻目の前半)。

二十面相の英才教育を受けたチコが、二十面相を追いながら、事件に巻き込まれたり、二十面相の遺産を狙う輩と戦かったり、戦争時代の二十面相の過去の仲間と対決したり。気がつけば、彼女は「二十面相の娘」として読者に認知されていくのです。

二十面相について

本作に登場する二十面相は、「快盗」であり「人殺しが嫌い」で、ちょっとした小道具を使い込なしす「変装の名人」。ということで、江戸川乱歩の少年探偵団に登者する二十面相のイメージを全く壊すところがありません。

しかし、チコを育てる教育者の一面は、江戸川乱歩の二十面相にはないものです。「自分で考えなさい」というメッセージの送り方は、二十面相らしくないものです。こういうと変ですが、二十面相以上に二十面相が魅力的です。

思うに、「二十面相の娘」の二十面相はアルセーヌ・ルパンに近いです。仲間思いで、人殺しは嫌いだけど必要な時はためらわない。目的遂行のためには、時に仲間にも頼らず、単独行動を取る。そして、ピンチには変装を解いて颯爽と登場する!! このルパン像から「女たらし」な側面を引くと、「二十面相の娘」の二十面相になる気がします。

乱歩の二十面相も、ルパンをモチーフとしているので、彼らが似てしまものも不思議はないかもしれませんね。

読後。。。

もっと続きが読みたい、と思う作品です。少し悲しい作品でもあります。

「二十面相の娘」は、出会いと別れの作品です。だから、また会えるんじゃないかな? そう期待してもいいでしょうか。

二十面相の娘 1 (1) (MFコミックス) 二十面相の娘 2 (2) (MFコミックス) 二十面相の娘 3 (3) (MFコミックス) 二十面相の娘 4 (4) (MFコミックス) 二十面相の娘 5 (5) (MFコミックス) 二十面相の娘 6 (6) (MFコミックス) 二十面相の娘 7 (7) (MFコミックス) 二十面相の娘 8 (8) (MFコミックス)

2008-08-10

2008 年第 32 週に借りたもの

スカイ・クロラ (森博嗣)

映画「スカイ・クロラ (The Sky Crawlers)」を観たと言ったら、森博嗣の本は全部 (だいたい?) 読んでいるという人から原作を借りられることになりました。感謝!

スカイ・クロラ (中公文庫)

ナ・バ・テア (森博嗣)

「スカイ・クロラ」を借りた人から、借りました。

ナ・バ・テア (中公文庫)

ダークナイト (The Dark Knight)

ダークナイト(クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー出演)

「バットマン・ビギンズ」の続編、「ダークナイト」を見ました。152 分があっという間でした。見終わって、拍手したくなりました。それほどに出来がよかった。震える作品でした。

ヒース・レジャー (Heath Ledger)

ジョーカー役ヒース・レジャーの演技が良い、というネットの評判に期待して見に行きました。そして、期待以上でした。狂気に彩られた計画にゾクリ。計算された悪業にゾクリ。狂気と計算の間を揺れ動くヒース・レジャーが素晴らしい。話しながら舌をチロリと出したり、声の高低を徴妙に変えたり、仕草一つにゾクゾクさせられます。

ジョーカー役と言えば、1989 年の「バットマン」で演じたジャック・ニコルソンを忘れることは出来ません。ジャック・ニコルソンのジョーカー役は、アメリカン・コミックなジョーカーでした。ギャングの幹部がベースになっていました。「異常」さがジョーカーの「狂気」を演出しているようでした。

一方、ヒース・レジャーのジョーカーは、チンピラがベースになっているようでした。大物感はありません。でも、「狂気」が服を着たような感じす。そして、ジョーカーがやることに「異常」さを感じません。ジョーカーがやるんだったら、そうするでしょ? という納得させられるものがあります。そこにヒース・レジャーの非凡さを感じます。

そうそう、一つジャック版ジョーカーをオマージュしているようなシーンがありました。バットマンの乗るバット・パット (バイク) にレジャーが武器を持たずに向かうシーンです。あれは、ニコルソンがバットマンの乗る飛行機 (名前が分からないのですが ^^;) に向かっていくシーンに敬意を表しているのでしょう。ニコルゾンのジョーカーを好きな人にはたまりません。少くとも私は、手に汗握りました。

音楽について

ダークナイトは、音の演出も良いです。例えば、時計の音がチッチッチッチッと時間が過ぎるところ。緊張。緊張。小さな音ですけど、映画館の良い音響だと効果バツグン。これは、DVD を家で観ていては体験できないと思います。映画館も、なるべく音響の良い映画館を選ぶとよろしいかと。(パイレーツ・オブ・カリビアンも同じ手法を使っていました。アレも素晴らしかった!)

2008-08-05

「レンタル・マギカ 魔法使いの妹」発売

8/1 発売。Amazon で予約して、8/2 にコンビニで受け取りました。

レンタルマギカ  魔法使いの妹 (角川スニーカー文庫 177-14)

テンション的には、日曜日に読み終えるつもりだったのに、友達と遊びに出かけてヘトヘトに。最近、体力の低下をとみに感じます。読み始めると一気なのですけど、その取っかかりがありません。週末まで、読むのはおあずけになりそうな予感です。

2008-08-04

スカイ・クロラ (The Sky Crawlers)

スカイ・クロラを観て来ました。友達の強い希望で! 全くの予備知識なしに!!

そういうわけで、オープニングに「原作: 森博嗣」と出てびっくり。続けて「監督: 押井守」と出て二度目のびっくり。

冒頭、目も醒めるように美しい空と雲! その中を飛び回る飛行機。交わされる英語。現れる字幕。えっ? 日本のアニメじゃないの? とびっくりしましたが、航空無線は英語で話すという設定なのだと分かって一安心。

主人公が飛行機を降りて、整備士と会話を始めると、「人づきあいが、下手」な映画だなと思いました。それは、映画として人の描き方が下手なんじゃなくて、登場人物の間で「人と人との距離の取り方」が違ってる感じです。もちろん、それ自体伏線なわけです。

ストーリーがどこに向かっているのか分からない。ただ、物語が進んでいく。主人公達が何故戦うのかも意識せず、ただ戦争という日常を過ごす、虚無感とどことなくシンクロします。きっと、これも狙っているのでしょうね。

映画を観ていて、席を立ちたくなる? でも喰い入って見てしまう。エヴァの「DEATH & REVERSE」のように尻切れトンボで終わるのかな? なんて不安もかきたてて、物語はクライマックスへ。最後の主人公のセリフは英語で、しかも訳されていません。エエッ! と思わせぶりなことを。集中してないと聞き逃すので、ご注意あれ。

SF とミステリと映画を愛する方は、是非映画館でご鑑賞を。見終えた後に、納得できない心が残りつつも、思い返すたびにもう一度観たくなる。そんな映画です。

スカイ・クロラ (中公文庫) ナ・バ・テア (中公文庫) ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫) フラッタ・リンツ・ライフ (中公文庫 (も25-5)) クレィドゥ・ザ・スカイ (中公文庫 も 25-7)

ちなみに、原作は全 5 冊で出ています。出版順と作品の時系列が同じではないようですが、出版順で読もうと思っています。