2008-07-14

The Book -- jojo's bizarre adventure 4th another day (乙一)

「ジョジョの奇妙な冒険」第 4 部のノベライゼーション「The Book」を読みました。読むまでの経緯は、過去記事をどうぞ。

原作となった第 4 部は、杜王町という架空の町を舞台にしています。日常に潜む敵を描きたかった、という作者のコメントをどこかで読んだ気がします。ジョジョ・シリーズは「冒険の旅」の中で、敵に襲われることが多かったので、第 4 部は異色と言えます。

しかし、ノベライゼーションする側からすると、これ程作り易い設定はないのかもしれません。まず、ノベライゼーションのエピソードも、日常の一コマとして本編にスムーズにハマり易いこと。そして、町が舞台ですから、本編に登場した名所やキャラクターを登場させ易いこと。

実際、「The Book」の出来はとても良く出来たものでした。そう、原作の雰囲気、登場人物、プロットをよくとらえていたと思います。

シャーロック・ホームズの二次創作ものは「(ワトソン博士が) 未発表のエピソードを発見した」という形で発表されるものが多く、「贋作物」というジャンルになっています。もちろん、この「贋作」というのは悪い意味ではありません。むしろ、本物と見間違う程のストーリー、トリック、雰囲気をファンは待っているのです。

日本のノベライゼーションは、まだまだ「贋作」というものは少ないですね。しかし、この「The Book」は、「贋作物」として評価されるに値する出来だったと思います。とても、完成度が高いです (前半はスティーブン・キングの「IT」を読んでいる既視感を感じましたが)。

作者・乙一氏は推理小説出身ということで、謎の出し方、回答への辿り着き方は、本編以上の筋の良さも感じました。でも、これは純粋な推理小説ではないですね。ジョジョ第 4 部を読んでいる人にしか楽しめない。ジョジョ・ファンのための本だと思いました。

The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day

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