「クラシック CD の名盤」の改訂版が発売されました。
この本はクラシック音楽の推薦盤紹介本です。一曲ごとに作者らが推薦盤を紹介しています。本書の特徴は作者が三人 (宇野功芳、中野雄、福島章恭の三氏) いることです。まず、曲の解説と CD の紹介を一人が行ないます。その後、残る二人が (前の人の CD 紹介にコメントを入れながら) 自分の推薦 CD を紹介します。一曲につき (基本) 三枚の CD が紹介されること。三人の異なる視点を見ることができること。そういった点が、他の名盤紹介本と趣を異にします。
旧版との違い
新版では、旧版よりも取り上げる曲目が増えました。数え間違えていなければ、59 の曲が追加されています。
新版で新たに取り上げられた曲目は以下の通りです。■印は (旧版にはなくて) 新しく追加された項目。□印は、旧版時代は複数の曲と一緒になって紹介されていたものが、一項目として独立したものです。
- ■モンテヴェルディ: 聖母マリアの夕べの祈り
- ■バッハ: ヴァイオリン協奏曲 (全 3 曲)
- ■バッハ: 音楽の捧げ物、フーガの技法
- ■バッハ: 管弦楽曲 (全 4 曲)
- ■バッハ: オルガン曲 トッカータとフーガ ニ短調、パッサカリアとフーガ ハ短調など
- ■バッハ: ヨハネ受難曲
- ■バッハ: クリスマス・オラトリオ
- □ハイドン: 交響曲「ザロモン・セット」
- ■モーツァルト: 交響曲第 25 番
- ■モーツァルト: 交響曲第 35 番「ハフナー」
- ■モーツァルト: 交響曲第 36 番「リンツ」
- □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 20 番 K.466
- □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 22 番 Ke482
- □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 23 番 K.488
- □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 24 番 K.491
- □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 27 番 K.595
- □モーツァルト: 弦楽五重奏曲
- □モーツァルト: 弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」
- ■ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第 1 番、第 2 番、第 3 番
- □シューベルト: ピアノ五重奏曲「ます」
- □シューベルト: 弦楽四重奏曲第 14 番「死と乙女」
- □シューベルト: ピアノ・ソナタ (全 21 曲)
- □シューベルト: 4 つの即興曲集 D.899 (作品 90)、4 つの即興曲集 D.935 (作品 142)
- ■シューベルト: その他の歌曲
- □ショパン: ピアノ独奏曲 前奏曲
- □ショパン: ピアノ独奏曲 バラード
- □ショパン: ピアノ独奏曲 ワルツ集
- □シューマン: ピアノ協奏曲
- ■ワーグナー: 管弦楽曲集
- ■ヴェルディ: 歌劇 椿姫
- ■プッチーニ: 歌劇 蝶々夫人
- ■プッチーニ: 歌劇 ラ・ボエーム
- ■ビゼー: 歌劇 カルメン
- ■ブルックナー: その他の交響曲
- ■ブラームス: 室内楽 ピアノ五重奏曲、弦楽六重奏曲など
- ■ブラームス: ドイツ・レクイエム
- ■チャイコフスキー: 交響曲第 4 番
- ■チャイコフスキー: バレエ音楽組曲
- ■ドヴォルザーク: 交響曲第 8 番
- ■ドヴォルザーク: チェロ協奏曲
- ■エルガー: チェロ協奏曲
- ■マーラー: 交響曲第 7 番「夜の歌」
- ■ドビュッシー: その他のピアノ曲
- ■ヨハン・シュトラウス 1 世・2 世: ワルツ「美しく青きドナウ」、「ウィーンの森の物語」、オペレッタ「こうもり」など
- ■R・シュトラウス: 交響詩 死と変容、ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら、英雄の生涯など
- ■R・シュトラウス: 楽劇 ばらの騎士
- ■シベリウス: 交響曲全集
- ■ラヴェル: ピアノ協奏曲
- ■バルトーク: 管弦楽のための協奏曲
- ■ストラヴィンスキー: バレエ音楽 ペトルーシュカ
- ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 4 番
- ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 7 番「レニングラード」
- ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 8 番
- ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 9 番
- ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 10 番
- ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 15 番
- ■プロコフィエフ: ヴァイオリン協奏曲第 1 番、第 2 番
- ■プロコフィエフ: ピアノ協奏曲第 3 番
- ■武満徹: ノヴェンバー・ステップス、ヴォーター・ドリーミングなど
ちなみに、コラムは全面挿し換え。あと、シューベルトの「アルベジオーネ・ソナタ」が曲目から削除されました。
暗く中身について
宇野氏の推薦盤は、変わりばえがしません。悪く言えば変化が少ないです。旧版を持つ人には、新版を買うメリットは少ないでしょう。逆に良く言えば、推薦盤が良く練られていると言えそうです。
福島氏の推薦盤は、挿し替えが多いです。氏の他の著作を読むと、この九年でアナログ LP に目覚めたらしく、推薦盤にもアナログ盤への言及が増えました。
中野氏の変化は、宇野氏・福島氏の間という感じかしらん。どうも中野氏の文章はビビッと来るものが少なくて、印象が薄いです :p
旧版を持っている人にとって買いか?
徴妙〜。定価は 1100 円ですけど、それ程の価値はないかなぁ。でも 500 円分位いの価値はある感じ。本当。徴妙。
個人的には、「新版」ではなく「第二巻」を出して欲しかったです。
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