2008-09-09

新版 クラシック CD の名盤 (宇野功芳、中野雄、福島章恭)

「クラシック CD の名盤」の改訂版が発売されました。

この本はクラシック音楽の推薦盤紹介本です。一曲ごとに作者らが推薦盤を紹介しています。本書の特徴は作者が三人 (宇野功芳、中野雄、福島章恭の三氏) いることです。まず、曲の解説と CD の紹介を一人が行ないます。その後、残る二人が (前の人の CD 紹介にコメントを入れながら) 自分の推薦 CD を紹介します。一曲につき (基本) 三枚の CD が紹介されること。三人の異なる視点を見ることができること。そういった点が、他の名盤紹介本と趣を異にします。

旧版との違い

新版では、旧版よりも取り上げる曲目が増えました。数え間違えていなければ、59 の曲が追加されています。

新版で新たに取り上げられた曲目は以下の通りです。■印は (旧版にはなくて) 新しく追加された項目。□印は、旧版時代は複数の曲と一緒になって紹介されていたものが、一項目として独立したものです。

  • ■モンテヴェルディ: 聖母マリアの夕べの祈り
  • ■バッハ: ヴァイオリン協奏曲 (全 3 曲)
  • ■バッハ: 音楽の捧げ物、フーガの技法
  • ■バッハ: 管弦楽曲 (全 4 曲)
  • ■バッハ: オルガン曲 トッカータとフーガ ニ短調、パッサカリアとフーガ ハ短調など
  • ■バッハ: ヨハネ受難曲
  • ■バッハ: クリスマス・オラトリオ
  • □ハイドン: 交響曲「ザロモン・セット」
  • ■モーツァルト: 交響曲第 25 番
  • ■モーツァルト: 交響曲第 35 番「ハフナー」
  • ■モーツァルト: 交響曲第 36 番「リンツ」
  • □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 20 番 K.466
  • □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 22 番 Ke482
  • □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 23 番 K.488
  • □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 24 番 K.491
  • □モーツァルト: ピアノ協奏曲第 27 番 K.595
  • □モーツァルト: 弦楽五重奏曲
  • □モーツァルト: 弦楽四重奏曲「ハイドン・セット」
  • ■ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第 1 番、第 2 番、第 3 番
  • □シューベルト: ピアノ五重奏曲「ます」
  • □シューベルト: 弦楽四重奏曲第 14 番「死と乙女」
  • □シューベルト: ピアノ・ソナタ (全 21 曲)
  • □シューベルト: 4 つの即興曲集 D.899 (作品 90)、4 つの即興曲集 D.935 (作品 142)
  • ■シューベルト: その他の歌曲
  • □ショパン: ピアノ独奏曲 前奏曲
  • □ショパン: ピアノ独奏曲 バラード
  • □ショパン: ピアノ独奏曲 ワルツ集
  • □シューマン: ピアノ協奏曲
  • ■ワーグナー: 管弦楽曲集
  • ■ヴェルディ: 歌劇 椿姫
  • ■プッチーニ: 歌劇 蝶々夫人
  • ■プッチーニ: 歌劇 ラ・ボエーム
  • ■ビゼー: 歌劇 カルメン
  • ■ブルックナー: その他の交響曲
  • ■ブラームス: 室内楽 ピアノ五重奏曲、弦楽六重奏曲など
  • ■ブラームス: ドイツ・レクイエム
  • ■チャイコフスキー: 交響曲第 4 番
  • ■チャイコフスキー: バレエ音楽組曲
  • ■ドヴォルザーク: 交響曲第 8 番
  • ■ドヴォルザーク: チェロ協奏曲
  • ■エルガー: チェロ協奏曲
  • ■マーラー: 交響曲第 7 番「夜の歌」
  • ■ドビュッシー: その他のピアノ曲
  • ■ヨハン・シュトラウス 1 世・2 世: ワルツ「美しく青きドナウ」、「ウィーンの森の物語」、オペレッタ「こうもり」など
  • ■R・シュトラウス: 交響詩 死と変容、ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら、英雄の生涯など
  • ■R・シュトラウス: 楽劇 ばらの騎士
  • ■シベリウス: 交響曲全集
  • ■ラヴェル: ピアノ協奏曲
  • ■バルトーク: 管弦楽のための協奏曲
  • ■ストラヴィンスキー: バレエ音楽 ペトルーシュカ
  • ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 4 番
  • ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 7 番「レニングラード」
  • ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 8 番
  • ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 9 番
  • ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 10 番
  • ■ショスタコーヴィチ: 交響曲第 15 番
  • ■プロコフィエフ: ヴァイオリン協奏曲第 1 番、第 2 番
  • ■プロコフィエフ: ピアノ協奏曲第 3 番
  • ■武満徹: ノヴェンバー・ステップス、ヴォーター・ドリーミングなど

ちなみに、コラムは全面挿し換え。あと、シューベルトの「アルベジオーネ・ソナタ」が曲目から削除されました。

暗く

中身について

宇野氏の推薦盤は、変わりばえがしません。悪く言えば変化が少ないです。旧版を持つ人には、新版を買うメリットは少ないでしょう。逆に良く言えば、推薦盤が良く練られていると言えそうです。

福島氏の推薦盤は、挿し替えが多いです。氏の他の著作を読むと、この九年でアナログ LP に目覚めたらしく、推薦盤にもアナログ盤への言及が増えました。

中野氏の変化は、宇野氏・福島氏の間という感じかしらん。どうも中野氏の文章はビビッと来るものが少なくて、印象が薄いです :p

旧版を持っている人にとって買いか?

徴妙〜。定価は 1100 円ですけど、それ程の価値はないかなぁ。でも 500 円分位いの価値はある感じ。本当。徴妙。

個人的には、「新版」ではなく「第二巻」を出して欲しかったです。

クラシックCDの名盤 新版 (文春新書 646)

0 件のコメント:

コメントを投稿