2010-11-01

リーピング (The Reaping)

リーピング [Blu-ray]

B003GQSYXK
ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-04-21

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ウィッチマウンテン / 地図から消された山でサラ役を演じた女の子アンナソフィア・ロブ (AnnaSophia Robb) が美少女で演技が上手だったので、アンナソフィア・ロブ出演作品を借りています。本作「リーピング」もその一作です。本作のアンナソフィアも素晴らしゅうございました。というわけでレビューです。

あらすじ

少女 (アンナソフィア・ロブ) が兄の死亡現場に居た。兄の死亡直後から、出エジプト記にある「十の災い」をなぞるように怪現象が起こる、というのもの。「十の災い」を Wikipedia でおさらいしてみます。

  1. 水を血に変える
  2. 蛙を放つ
  3. ぶよを放つ
  4. 虻を放つ
  5. 疫病を流行らせる
  6. 腫れ物を生じさせる
  7. 雹を降らせる
  8. 蝗 (いなご) を放つ
  9. 暗闇でエジプトを覆う
  10. 長子を皆殺しする

主人公キャサリン (ヒラリー・スワンク) は、キリスト教の元宜教師にして、現在は「神の奇跡」を科学的に解明する科学者。キャラクターの立場が、インディ・ジョーンズにそっくりです。インディ・ジョーンズが考古学者なのに対して、キャサリンは専門の科学者というところが違いでしょうか。

物語は、キャサリンの許に調査依頼が来るところから始まります。「十の災い」の一つ目らしき奇跡が起こった。調査して欲しい、と。興味を示さないキャサリン。依頼者は続けます。「兄の死から始まった事件の原因を、その妹が負おうとしている。少女が非常に危険な立場にある」キャサリンはその言葉に心を動かされ、助手を連れて町へ向かいます。

調査を続ける途中にも止まらない「十の災い」。町を出かける前に、昔の友人から警告された「悪魔崇拝」のシンボル。当の少女は無口。町民は少女の家族は悪魔崇拝者だと言う。「災いを止めるために、少女を殺さなくては」。信仰という名の上の殺人。キャサリンは少女を守りたいと思う。しかし、判明してゆく事実はどんどんと少女に不利な事ばかり。少女の家の中で見つかる悪魔崇拝の証拠。赤く染まった川の水の成分結果は「血」! 少女を殺そうと銃を持って集まった町民たちに、少女を守るやうに現れる蝗の大群。神は何のために「十の災い」を起こしたのか? (イスラエルの) 民を救うためではなかったのか? 誰を守るための災いなのか? 災いを引き起こしているのは、神ではなく、悪魔なのか?! キャサリンは少女を殺すため、ナイフを握る。

感想

アンナソフィア・ロブの演技が素晴らしい。何がすごいって、ほとんどしゃべらないんですよ。普通の子とは違うなってイメージと近寄り難さを出していて、ヒラリー・スワングの演技もあるのですが、映画の序盤では少女を救わなきゃと強く思うんですね。そう、幸薄な少女という姿を見事に演じているのです。

ところが、蝗の大群を従えるあたりから、雰囲気が一転。あれです。オーメン II のダミアン少年が「言葉」なしで演技しているというか、オーメンの子供が少女に成長したというか。もう悪魔の子そのものです。「ローズマリーの赤ちゃん」が好きな人にはたまらない展開です。

脚本が良く出来ていて、見事に騙されました。伏線の張り方も見事。神を信じなかったキャサリンを信仰の道に戻す結末も上質。ホラー映画ながら、「エクソシスト」「オーメン」と並ぶ上質の映画でした。

蛇足

映画の特典として、「十の災い」を現在の科学者がどのように解析しているかを説明したドキュメンタリーが入っています。この解析は映画の中で軽くキャサリン自身が説明していることなのですが、それをもう少し詳しく説明したものです。15 分あります。要は「火山」が原因で、赤潮が起きて、生態系が崩れて... その連鎖だよ。ということなのですが、よくまとまった短編ドキュメンタリーでした。もし BD を借りることがあったら、どうぞこちらの特典も併せてご覧になることをお勧めします。

2010-10-31

Les Misérables Live! (The 2010 Cast Album)

Les Misérables の 2010 年キャスト・アルバムを買いました。このアルバムを探すと、Amazon で 2 つのアイテムが見つかります。

Ocr: Les Miserables Live!
Ocr: Les Miserables Live!
Les Miserables 2010 Cast
Les Miserables 2010 Cast

ここでは便宜的に左側を Ocr 盤、右側を Cast 盤と呼びましょう。

比較

2 つの盤を比べてみました。

Ocr 盤Cast 盤
Amazon での名称Ocr: Les Miserables Live!Les Miserables 2010 Cast
値段3,005 円1,314 円
枚数2 枚2 枚
発売日2010/9/132010/10/12
レーベル番号First Night ENCORECD12First Night (RED) FH99508
録音場所The Palace Theatre ManchesterThe Palace Theatre Manchester
録音日2010 年 2 月2010 年 2 月

写真でもどうぞ。

Les Misérables Live! dream the dream

左側がいわゆる Ocr 盤、右側が Cast 盤です。

Ocr 盤のレーベル番号部分を拡大してみましょう。

Ocr: Les Miserables Live! - Dream the Dream Les Miserables

レーベルは First Night。番号は ENCORECD 12 です。

Cast 盤はどうでしょうか?

Les Miserables 2010 Cast Les Miserables

レーベルは First Night の下に RED というレーベル名が付いています。番号は FH99508。

2 つのディスクは同じか?

上の比較表を見て分かる通り、2 つの CD の「製品番号」は違います。しかし、中身は全く同じです。録音場所・録音日が同じことが何よりの証拠でしょう。収録されているライナーノートも全く同じでした。もちろん収録曲も同じですし、2 つの CD を聞いて違いがあるようには思えませんでした。

買うのであれば、安い方を買うことをお勧めします。全く損はしませんから。

全く同じ CD がこうも別の扱いをして売られているのか、誰か教えて頂けますか?

25 周年記念コンサート?

先のエントリーで、2010 年 10 月 3 日にロンドンで 25 周年記念コンサートが開かれたことを書きました。

このディスクは、その様子をライブ録音したものでしょうか? 答えは否です。録音日が違います。CD は 2010 年 2 月にライブ録音されていますが、コンサートが開かれたのは 2010 年 10 月です。これから 25 周年記念コンサートのライブ CD が発売される可能性はありますが、少くともこの 2 枚の CD が記念コンサートのライブ盤ということはありません。

2010-10-30

サイモン & ガーファンクルの「The Columbia Studio Recordings」がお手頃価格で予約中

The Columbia Studio Recordings
Simon & Garfunkel

B0041PIJP8
Sony Music 2010-11-08

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

サイモン & ガーファンクル (Simon & Garfunkel) はお好きですか? 私は好きです。ビートルズ、カーペンターズ、サイモン & ガーファンクルは全てのアルバムを買おうと大学時代に強く思ったものです。その彼らのコロンビア時代のアルバムが全集で発売されます。

CD 5 枚組。発売日は 2010 年 11 月 8 日。定価 2,103 円。Amazon 価格は 1,987 円です。なかなかお手頃価格ではないでしょうか?

アルバムについて

Amazon に収録アルバムの情報がないので、推測を交えながらアルバムの解説をば。

サイモン & ガーファンクル (以降 S&G と略記) は 1964 年結成。1970 年解散。その間、サントラを除いて 5 つのオリジナル・アルバムを残します。その後、S&G は再結成、解散を繰返してアルバムを何枚か出します。今回収録されているアルバムの数が 5 枚とのことなので、1970 年に解散するまでに出したオリジナル・アルバムを集めたボックスと思われます。

アルバムのタイトルは次の通り

  1. 水曜の朝、午前 3 時 (1964: Wednesday Morning, 3 A.M.)
  2. サウンド・オブ・サイレンス (1966: Sounds of Silence)
  3. パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム (1966: Parsley, Sage, Rosemary and Thyme)
  4. ブックエンド (1968: Bookends)
  5. 明日に架ける橋 (1970: Bridge Over Troubled Water)

個人的に注目して欲しいのは、「水曜の朝、午前 3 時」に収録されている「サウンド・オブ・サイレンス」です。彼らのファースト・アルバム「水曜の朝、午前 3 時」は売り上げ的には失敗の部類で、S&G 自身も別々の道を歩き出します。

ところが、プロデューサーのトム・ウィルソンがこの曲は良いじゃないかと気に入り、S&G には無断で曲をいじってしまいます。オリジナルの「サウンド・オブ・サイレンス」はアコースティック・ギターだけで演奏されていたのですが、これに追加する形でエレキ・ギターやドラムを足したのです。これがヒットして、S&G は再びアルバム作成に復帰します。

さて、私達が普段聞いている「サウンド・オブ・サイレンス」はアルバム「サウンド・オブ・サイレンス」に収録されているバージョンでしょうか? それとも「水曜の朝、午前 3 時」に収録されているバージョンでしょうか?

答えは「サウンド・オブ・サイレンス」に収録されているバージョンです。そういうわけで、S&G が作ったオリジナルの「サウンド・オブ・サイレンス」をほとんどの人は聞いたことがないのですね。というわけで「水曜の朝、午前 3 時」に収録されたオリジナルの穏かな「サウンド・オブ・サイレンス」を聞いて欲しいと願うわけです。

蛇足

私はブックオフで S&G の古い全集を見つけて既に購入済みです。この時、Amazon で見つけた S&G の全集は 4 千円を越えていました。一方ブックオフで見つけた全集はそれより安かったわけです。でも、2 千円は切っていなかったように思います。もし、全集が 2 千円を切ってリリースされると知っていたら、あの時買わなかったかもしれません。まあ、時は戻りませんから今言っても仕方のないことですね。

ミュージカル「レ・ミゼラブル」25 周年記念コンサートが一週間限定で映画館公開

ミュージカル「レ・ミゼラブル」(Les Misérable) の 25 周年記念コンサートが、2010 年 10 月 3 日にロンドンで行なわれました。会場は世界最大のドーム「The O2」です。

このコンサートは、イギリスを含むヨーロッパの 200 の映画館で衛星生中継されました。いわゆる、ライブ・シネマ・イベントというやつですね。

国内映画上映

この衛星中継された映像を日本語字幕付きで映画館上映することが決まりました。レ・ミゼラブルのファンとしては喜ばしいことですね。

上映はワーナー・マイカル・シネマズが独占して行ないます。公開時間は 185 分。チケット代金は 2,000 円 (割引無効)。公開期間は一週間。公開される映画館の数は 4 つ (関東 3 つ、大阪 1 つ) です。期間・場所ともに限定されているので注意が必要です。

各々の映画館で上映回が一回しかありません。板橋 (17:50-20:55)、市川妙典 (19:15-22:20)、羽生 (18:00-21:05)、茨木 (17:30-20:35)。いずれも夜遅いです。終電にも注意ですね。

映画館の場所が分かりづらいので、Google Maps でまとめてみました。参考にしてみて下さい。


より大きな地図で Les Miserables 25th Anniversary を表示

より大きな地図で見る方が宜しいかと思います。

私はレ・ミゼラブルの好きな友達に連絡を取って、既に座席をリザーブしました。映画館でコンサートを観られるのを今から楽しみにしています。

2010-10-29

サウンド・オブ・ミュージック BD 版が出ますね

遂に「サウンド・オブ・ミュージック」の Blue Ray 版が出ますね。発売日は 2010 年 12 月 3 日。

サウンド・オブ・ミュージック 製作45周年記念HDニューマスター版:ブルーレイ・コレクターズBOX (数量限定生産) [Blu-ray]

B004323XUK
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2010-12-03
Amazonで詳しく見る
by G-Tools

コレクターズ BOX (定価 10,800 円, Amazon 価格 7,847 円) とブルーレイ & DVD セット (定価 4,935 円, Amazon 価格 3,217 円) の二種類が出るようです。

今年は、サウンド・オブ・ミュージック製作 45 周年記念とのこと。BD 版はオリジナルネガから新たに「HD デジタルリマスター」して映画本来の色・質感に戻したようです。音も、DTS 7.1 チャンネル・マスター・オーディオ (ロスレス) とかなり気合いの入った仕様です (果たして、これをちゃんと再生できる人は何人いるのかしらん?)。美しいアルプスと最高のミュージカルを楽しめますね。

コレクターズ BOX もブルーレイ & DVD セットも両方とも 4 枚組。本編 BD & DVD (DVD は Digital Copy 機能付き) と特典 BD が 2 枚つくようです。BD 版の特典で目玉は、ジュリー・アンドリュース・アワーにマリア・フォン・トラップを迎えた回を収録していることと、「ジュリー・アンド・キャロル・アット・カーネギーホール:プラット・ファミリー合唱団」でトラップ・ファミリー合唱団のパロディ (?) が見られることでしょうか。

コレクターズ BOX には 4 枚のディスクに加えて、次の特典が付くようです。

  • Music Box: My Favorite Things を奏でるオルゴール
  • スクラップ・ブック: サウンド・オブ・ミュージックの歴史を綴る 100P のハードカバー (写真多数)
  • US オリジナル復刻劇場パンフレット: 65 年公開時のパンフを縮刷 48P で収録
  • 作曲・作詞家からのメッセージ: ロジャース & ハマースタイン II 世からのメッセージ (?)
  • スナップショット: 舞台となったザルツブルグの絵葉書風オリジナル・カード (6 枚)

うん。本当にコレクター向きですね。

私はビデオ版を買って、DVD 版はスルーしてきたので、今回 BD 版は買ってみたいと思っています。まあ、BD & DVD セットで十分ですけどね。

ワーグナー・オペラ大全集の詳細

先日、激安ワーグナー・オペラ全集 Amazon で予約受付中というエントリーを書きました。その時点では値段と CD の枚数 (43 枚!) だけしか分かっていませんでしたが、ようやく今日 HMV でも取り扱いが始まり詳細情報が出ました。詳しいことは HMV のページを参考にしてもらうこととして、概略のみエントリーにします。

概略

前エントリーで予想した通り、今回リリースされるボックスは 2008 年に Documents レーベルから発売されたものと同じでした。前エントリーで Membran と Documents は同系列のレーベルと書きましたが、Amazon では Membran レーベル、HMV では Documents レーベルからの発売となっています。ここら辺、混乱しているようですね。

2008 年のボックスと同じということで、収録内容は未完のオペラを除く「全てのワーグナー」のオペラとなります。つまり、以下の演目です:

  1. パルジファル (1951, mono)
  2. ニュルンベルクのマイスタージンガー (1951, mono)
  3. さまよえるオランダ人 (1944, mono)
  4. トリスタンとイゾルデ (1952, mono)
  5. ローエングリン (1953, mono)
  6. タンホイザー (1951, mono)
  7. ニーベルングの指環 [ラインの黄金, ワルキューレ, ジークフリート, 神々の黄昏] (1994-95, stereo)
  8. リエンツィ (1950, mono; 短縮版)
  9. 恋愛禁制 (1962, mono)
  10. 妖精 (1998, stereo)

「ニーベルングの指輪」と「妖精」のみデジタル録音で、それ以外は全てモノラルの古い録音です。

「パルジファル」の指揮者はクナッツーシュブッシュ。「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の指揮者はカラヤンです。この二つの録音は、バイロイト音楽祭が第二次大戦後に再開された記念の年の演奏を録音したものです。余談ですが、バイロイト音楽祭再開の第一演目は有名なフルトヴェングラーの「バイロイトの第九」ですね。

「さまよえるオランダ人」の指揮はクレメンス・クラウス。「トリスタンとイゾルデ」の指揮はフルトヴェングラー。この二つの録音と、「リエンツィ」のみセッション録音で、他は全てライヴ録音です。

「ローエングリン」の指揮はカイルベルト。カイルベルトの名演として有名ならしいです。

「タンホイザー」の指揮はロベルト・ヘーガー。最近気になってるソプラノ、リタ・シュトライヒが牧童役で出ているのが個人的なポイントです。

「ニーベルングの指輪」の指揮はノイホルト。Bella Musica レーベルからのライセンス供給盤で、1994,1995 年にライヴ録音されています。指揮者の知名度は (この全集の中では) 一つ落ちますが、録音が新しいのが良いですね。

「リエンツィ」の指揮はツィリッヒ。寡聞にして初めて聞く指揮者です。

「恋愛禁制」の指揮はヘーガー。これはセッション録音かライヴ録音か情報がありませんでした。

「妖精」の指揮はエトヴェシュ。イタリアのダイナミック・レーベルからのライセンス供給盤。「妖精」がワーグナー最初のオペラ、「恋愛禁制」がワーグナー 2 作目のオペラとのことです。

あとがき

有名所のオペラは、「ニーベルングの指輪」を除き全てモノラル。そして「ニーベルングの指輪」の指揮者はあまり有名でない!? (知らないだけ?)。値段が安いだけにフムフムという内容です。最新の録音に慣れた耳には辛いかもしれません。ただし、録音の古さを気にしなければ、「パルジファル」「ニュルンベルクのマイスタージンガー」「トリスタンとイゾルデ」「ローエングリン」などは歴史的名盤として数えられるものですし、めったに聞けないマイナーなオペラも聞けるということで、かなりお買い得なセットと言えそうです。

2010-10-27

パガニーニのカプリース Op.1 (ルッジェーロ・リッチ, 59 年録音)

パガニーニ:24のカプリース
パガニーニ:24のカプリース

クラシック音楽評でいつも参考にしている鎌倉スイス日記さんが、パガニーニのカプリース Op.1 をルッジェーロ・リッチの演奏で取り上げてらっしゃったので、聞きてみたくなりました。

現在、リッチのカプリースはちょうど千円で買えるのでお手頃価格です。というわけで、Amazon で注文。昨日届いたので、今、聞きながらエントリーを書いているところです。

ルッジェーロ・リッチ (Ruggiero Ricci)

リッチは 4 回もパガニーニのカプリースを録音しています。しかも 1 回目の録音が、このカプリースの世界初全曲録音だったというから驚きです。今回、聞いているのは 2 回目。1959 年 4 月、ジュネーヴでの録音とのことです。

パッと聞きですが、リッチはどちらかというと美音系のヴァイオリニストではないようですね。美音系というと、グリュミオーとかフランチェスカッティを思い浮かべますが、むしろ対極にある音のように思います。音はクッキリ、ハッキリ。高音になると切れ味さえ感じる鋭い音が聞こえます。美音系が好きな人には、ちょっとおすすめできないかもしれませんね。

リッチの音程はとてもしっかりしたもので、ブレがありません。速いパッセージは速く、確実に弾いてゆきます。カプリースは難曲なので、これは大したものですね。

あとは初の全曲録音者という余裕でしょうか? 曲に変な手を入れていません。パガニーニの書いた楽譜を、その通りに音楽へと再現していく姿勢を感じます。技術が足りないと弾き崩したり、技術がありすぎるとやりすぎたりして、曲本来の良さをスポイルしてしまうことが多いのですが、リッチの演奏にはそういうものがありません。あくまで、普通に曲の良さを伝えてくれます。

例えば 9 曲目。1:10 過ぎの高域の美しいこと。歯切れの良いこと。うっとりとしてしまいます。でもこれがパガニーニを「普通」に演奏しているということなんだと思います。とんでもなく高度な技術が必要ですけど。

久しぶりに良い CD を聞きました。