2009-01-28

007 慰めの報酬

昨夜、「007 慰めの報酬」を観て来ました。007 の映画が公開されるのは、2006 年の 12 月以来です。

前作では、ジェームス・ボンドこと「007」の初任務が描かれました。映画の初めでは、まだ粗野な MI6 諜報員だったボンドが、カジノ・ゲームを前にタキシードに身を包むあたりから、グッとスマートになって「ダブル・オー・セブン」になっていく様が見ものでした。ボンドが正装するのにコーディネイトしたのは、恋人のヴェスパーでしたね。そんなヴェスパーがボンドを裏切り、そして助ける形で亡くなるのが、前作のラストでした。

「慰めの報酬」のスタートは、「カジノ・ロワイヤル」のラストから数時間後。

あれあれ、ボンドがまた行きあたりばったりな諜報員に戻ってしまいましたよ。アクションばりばりですが、上司の M と衝突し、敵を殺しまくり、英国紳士のスマートさがありません。

私は、これをヴェスパーの影響だと思っています。

ヴェスパーが自分を裏切ったことが許せなくて、そんな自分が許せないのですね。だから、ヴェスパーがコーディネートしてくれた「タキシード姿に身を包む、英国紳士な 007」の姿から離れてしまった。ボンド自身も苦しみ、酒を呑み、眠れない日々が続く。

でも、ヴェスパーを裏切りにまで追い込んだ相手 (いわば仇) を追う内に、ボンドはヴェスパーと自分自身を許せるようになるんです。そして、映画のラストで、007 らしいジェームズ・ボンド像を取り戻すんです。

なので、007 のタイトル・テーマも、あの一番有名なオープニング・シーンも、(ボンドが 007 としての自分を取り戻す) ラストまでおあずけなんですね。

という風に、私は「慰めの報酬」を見ました。うがって見すぎかしらん。ともあれ、今までの 007 とは違ったジェームズ・ボンドを描いていて、007 ファンとしては評価の別れる作品になりそうです。映画そのものは、ギュッとつまっていてよく練られていますけどね。

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