グレン・グールドの LP で、4 チャンネル再生してみると楽譜をめくる音が聞こえたという話です。技術的なことは分からないのですが、オーディオ・ファン & グールド・ファンとしては面白いので、メモがわりにエントリーとして引用してみます。
昔 1970 年代の頃、4 チャンネルの LP が騒がれたことがある。結局は各メーカーが独自の方式を開発して譲らす、乱立の収拾がつかなかったため、一時的なブームでポシャッてしまった。だがあのとき筆者は、貴重な体験をした。確かグレン・グールドのバッハの LP だったが、これは普通の 2 チャンネルのステレオ録音で、たまたま 4 チャンネルの SQ デコーダーの電源を切り忘れていた。すると突然頭の上でピアノが鳴り出して、これはこれで面白いワイと、悦に入って聴いていたところ、ある個所でバサッという楽譜をめくる音がするではないか。これまでにも何回もその LP を聴いて、ついぞ楽譜をめくる音など聴いたことがない。もう一度その個所を再生すると、確かに楽譜をめくる音が入っている。
不審に思ってデコーダーの電源を切って、2 チャンネルのステレオで再生してみると、摩訶不思議楽譜をめくる音は、完全に消えてしまっている。筆者は不審に思って、メーカーに電話で問い合わせたところ、「そんな、アホな、あり得ないケースだ」という。試しに一度テストして欲しいと申し入れると、しばらくたって電話がかかって来た。「驚きました、あなたのおっしゃるとおりです」という。結局この件はうやむやになり、「要するにフェイズ・シフトの問題でしょう」で、チョンになってしまった。
CD の上手な買い方・集め方 p.98 より引用
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