2010-09-20

蝕[エクリプス] in 響

友達がオーディオ・ショップで気に入ったという武満徹の楽曲「蝕[エクリプス]」。先日、そのお店でかかっていた CD を見つけたとエントリーを書きました。

しかし、一昨日、オーディオ・ショップに行って確認してみたところ違う CD だったことが分かりました。その時かかっていたのは、「菅野レコーディング ベスト・サウンド・セレクション」という CD でした。

この菅野氏は知る人ぞ知る、日本を代表する録音エンジニアだそうでして、彼の録音した CD はおしなべて音が良いそうです。その彼の録音を選んで「Stereo Sound」という雑誌に付録で付けたところ大好評。雑誌に付録ではなく、ちゃんと CD でも発売して欲しいとの声が多くあがったそうです。そこで出来たのが「菅野レコーディング ベスト・サウンド・セレクション」という CD でした。

しかし、Amazon でこの CD を探してみても見つからないことから、簡単に手には入らないようです。廃盤になったか、それとも Amazon での扱いがなかったのか。

とはいえ、全く手がないわけでもありません。方法は 2 つあります。

菅野レコーディング ベスト・サウンド・セレクション in Stereo Sound

一つはステレオ・サウンドのウェブページ内にあるオンライン・ショピング・サイトから買う方法です。

価格は 3,000 円。加えて郵送料 300 円がかかります。

収録曲は以下の通り。5 曲目に 蝕[エクリプス] があります。

  1. ボタームンド~シュタルケル: パガニーニの主題による変奏曲
  2. J.S. バッハ: オルガン・コラール「人よ汝の罪の多いなるを嘆け」
  3. J.S. バッハ~シロティ: 前奏曲ロ短調
  4. ショパン: 夜想曲(作品9)第1番
  5. 武満徹: エクリプス
  6. エル・チェクロ
  7. 嘘は罪
  8. ミーン・トゥ・ミー
  9. ホワット・イズ・ゼア・トゥ・セイ~ハロー・ドーリー
  10. ユー・ドゥ・サムシング・トゥ・ミー
  11. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
  12. クライ
  13. アイ・リメンバー・クリフォード

響 — 和楽器による現代日本の音楽

もう一つの方法は、オリジナルの CD を買う方法です。「菅野レコーディング ベスト・サウンド・セレクション」のライナー・ノートを読んだところ、この 蝕[エクリプス] という楽曲はもともと「響(ひびき)」という CD に収録されていた、とありました。

この CD の良い所は、まず第一に Amazon で買えるところ (廃盤だったようですが、復刻版が出たようです)。第二に 蝕[エクリプス] 以外の「日本の楽曲」を楽しめるところでしょうか。欠点もあります。CD が三枚組な点です。お値段もそれに合わせてお高くなっています。5,000 円。Amazon だと、今 5% OFF で 4,750 円で買えるようですが、それにしても高い。お財布に痛いところです。

何を買うべきか。難しいところですね。

[復刻]響(ひびき)-和楽器による現代日本の音楽
八村義夫 日本音楽集団 邦楽四人の会
[復刻]響(ひびき)-和楽器による現代日本の音楽
曲名リスト
1. 日本楽器のための四重奏曲 第1楽章 (清瀬保二)
2. 日本楽器のための四重奏曲 第2楽章 (清瀬保二)
3. 日本楽器のための四重奏曲 第3楽章 (清瀬保二)
4. 六重奏曲 第1楽章 (伊藤隆太)
5. 六重奏曲 第2楽章 (伊藤隆太)
6. 六重奏曲 第3楽章 (伊藤隆太)
7. 和楽器のための四重奏曲 第1番 第1楽章 (小山清茂)
8. 和楽器のための四重奏曲 第1番 第2楽章 (小山清茂)
9. 和楽器のための四重奏曲 第1番 第3楽章 (小山清茂)
10. 三つのエスキス I (清水脩)
11. 三つのエスキス II (清水脩)
12. 三つのエスキス III (清水脩)
13. 四面の箏のための音楽 第1楽章 (間宮芳生)
14. 四面の箏のための音楽 第2楽章 (間宮芳生)

1. 尺八と箏の協奏的二重奏 (入野義朗)
2. 箏のための組曲 I.前奏曲 (石桁眞禮生)
3. 箏のための組曲 II.間奏曲 (石桁眞禮生)
4. 箏のための組曲 III.終曲 (石桁眞禮生)
5. しがらみ 第2 (八村義夫)
6. 蝕[エクリプス](琵琶と尺八のための) (武満徹)
7. 対話五題(二本の尺八のために) I.呪われた分身との自虐的対話 (諸井誠)
8. 対話五題(二本の尺八のために) II.祖先の声との忌まわしき対話 (諸井誠)
9. 対話五題(二本の尺八のために) III.滅びゆくものとの感傷的対話 (諸井誠)
10. 対話五題(二本の尺八のために) IV.美しき背徳者との諧謔的対話 (諸井誠)
11. 対話五題(二本の尺八のために) V.未知なるもの、あるいは死について (諸井誠)

1. 二つの尺八のための「アキ」 (廣瀬量平)
2. 組曲 「人形風土記」 1.ニポポ (長澤勝俊)
3. 組曲 「人形風土記」 2.こけし (長澤勝俊)
4. 組曲 「人形風土記」 3.のろま人形 (長澤勝俊)
5. 組曲 「人形風土記」 4.流しびな (長澤勝俊)
6. 組曲 「人形風土記」 5.キジ馬 (長澤勝俊)
7. 組曲 「人形風土記」 6.木うそ (長澤勝俊)
8. 太棹協奏曲 第1楽章 (牧野由多可)
9. 太棹協奏曲 第2楽章 (牧野由多可)
10. 太棹協奏曲 第3楽章 (牧野由多可)

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2010-09-17

iPod 版リリング監修のバッハ全集

先日、Amazon でリリング監修のバッハ全集が大安売り・予約中とのエントリーを書きましたが、本日のエントリーはそのデジタル・データ版の話です。

これは、CD 172 枚分を iPod に入れて販売している、というもの。発売は 2008 年 10 月 11 日。約 2 年前。発売レーベルは Hänssler。価格は 83,150 円。

使っている iPod は iPod Classic 160 GB。圧縮方式は AAC 128 kbps。HMV のユーザーレビューを見ると、「演奏者情報が表示されない」とのこと。ここは一点減点ですかね。「聴きたい曲を探し出すのが大変」との声も見受けられますが、これは本製品に限った話ではないと思います。今の iTunes (iPod 含む) とクラシック音楽はいささか相性が悪い。全般的に iTunes はクラシック音楽よりもポップス、ロック、ジャズといった楽曲をメインに置いて「設計」されているように思います。その設計の悪さがそのまま iPod にも受け継がれている気がします。

とはいえ、172 枚分の CD を全て PC に取り込む苦労を考えると、この iPod エディションは魅力でもあります。

個人的には、激安・ハイドンの交響曲全集Beatles 全アルバム (リマスター盤) を収録した USB のように、iPod に含めず USB での発売にしてくれたら取り扱いが楽だったのではないかと思います。それから価格ですね。本製品の代金「8 万円」の中には iPod Classic の値段も含まれているわけですから、その分も安く済んだはずです。コンセプトは良いと思うのですが、2008 年という時代が少し早すぎたのかもしれません。今、もう一度同じコンセプトで商品を出せば、もっと良いデジタル・パックができると思います。頑張れ Hänssler!

2010-09-15

Amazon でリリング監修のバッハ全集が大安売り・予約中

2000 年、バッハの研究家ヘルムート・リリングを擁してドイツの Hänssler レーベルが J. S. バッハの大全集を作成しました。楽譜には、ベーレンライター新バッハ・エディション (リリング自身が校訂) を採用。偽作も含んでの総 CD 枚数は 172 枚。価格は 12 万円前後。学生には高嶺の花の大全集でした。

それを、なんと Amazon が 26,438 円で予約中 (何故か HMVTower Records には見当たりません)。この価格! 驚くじゃありませんか!! 発売予定日は 2010-09-20。

Bach, J.S.: Complete Works
Bach, J.S.: Complete Works

廉価版の大全集と言うと、Brilliant Classics レーベルの全集 (153 枚組・12,567 円) が有名ですが、こちらは基本寄せ集めの全集。

Complete Edition
Complete Edition

一方、Hänssler の全集は一人の監修者が責任と統一感を持って作ったもの。合唱曲 (カンタータや受難曲) は合唱指揮者としても実力十分なリリング自身が担当。その他の楽曲に関しても、リリングが信頼する演奏家の演奏を中心に作成されています。

私は、お財布が厳しいのですが、ポチッと予約ボタンを押してしまいました。

2010-09-14

Rodrigo Y Gabriela (Rodrigo Y Gabriela)

「Rodrigo Y Gabriela」。演奏者の名前をアルバム名に持ってきた、彼らのファースト・アルバムです。

ギター好き (聞くのも弾くのも好き) な友達に聞かせたところ、大アタリ。「ギター好きでこのアルバムを好きにならないなんて...」とまでの賛辞を頂けば、曲を紹介した私も嬉しいというものです。

二人はメキシカン。メキシコと言えば、元スペイン支配の国です。熱い熱いスパニッシュなギター・サウンドが奏でられます。友達に聞かせたのは一曲目の Tamacu という曲。弦を弾く、ギターを叩く。コード進行・メロディーラインだけでない「ギター」の持つ旨味を全て拾い上げたかのような演奏技術に加えて、酒場の熱気をそのままアルバムに封じ込めたような熱さのある楽曲に仕上がっています。

収録曲は全て同スタイル。全く歌はありません。ギター・デュオのみ。それだけ、曲作りにも自信があるのですね。もちろん、全曲聴いて飽きるなんてことはありません。

一つだけ例外。5 曲目の SATORI という曲。ここにハンガリー・ヴァイオリニストのロビー・ラカトシューが参加しています。曲の構成は前半ギター・デュオ、後半ヴァイオリン付き。後半にヴァイオリンが入ると、曲調が変わってしまって、おや? 楽曲構成を失敗したかな? なんて思ってしまいます。でも、よ〜く耳をそばだてて聞いてみて下さい。ラカトシュ氏、前半部分からピッツィカートの形で楽曲に参加しているのです。ギターじゃない柔らかい弦を弾く音がそれです。つまり、少しずつ彼の存在は曲の中で現れていて、弦を弾くところで大きくクローズアップされるというわけ。この前振りを聞きの逃していると、曲の印象が大分変わってしまうのですね。きっと、ライヴで見てたら、そういう仕草が「目」で見られるので分かり易く楽しかったのではないかと思います。

Rodrigo Y Gabriela
Rodrigo Y Gabriela
Rodrigo Y Gabriela
曲名リスト
1. Tamacu
2. Diablo Rojo
3. Vikingman
4. Satori
5. Ixtapa
6. Stairway To Heaven
7. Orion
8. Juan Loco
9. PPA

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2010-09-13

蝕[エクリプス] (武満徹)

先日、友達をオーディオ・ショップに連れて行きました。そこで鳴っていたのは琵琶と尺八の音楽でした。雰囲気は日本の前衛クラシック。私には少し前衛すぎたのですが、当の友人はいたくその楽曲を気に入った様子。

しかし、店員曰く、この CD は売り切れになってしまったとのこと。

しかたがないので、曲名と演奏者だけメモして帰りました。演奏者は鶴田錦史 (琵琶) と横山勝也 (尺八)。曲名は、武満徹による蝕(エクリプス) とのことでした。

帰宅後、ネットで調べてみたのですが、このエクリプスという曲はノヴェンバー・ステップ (武満徹の代表作) の原曲に当たるようですね:

(前略) この経験を元に現代音楽純音楽作品として、琵琶と尺八のための『エクリプス』を作曲。

(中略) この『エクリプス』の録音を、武満と親しくニューヨーク・フィルハーモニックの副指揮者を務めたことのある小澤征爾が同フィル音楽監督のレナード・バーンスタインに聴かせたところ、バーンスタインが非常に気に入り、これら日本の楽器とオーケストラとの協奏曲を書いて欲しいと武満に依頼することになる。そしてニューヨーク・フィルハーモニック125周年記念委嘱作品としてこの『ノヴェンバー・ステップス』が作曲され...(後略)

ノヴェンバー・ステップス - Wikipedia より引用

さて、こうなると話がややこしくなります。ノヴェンバー・ステップは有名な曲ですが、私は CD を持っておらずどのような曲か分かりません。あの時、お店でかかっていた曲 (エクリプス) とノヴェンバー・ステップスの違いがどれ程のものかが分からないのです。ノヴェンバー・ステップスを聞いて友達は喜ぶのか?

そう思って Amazon を探し回っていたら、嬉しい情報を見つけました。廃盤になったその CD が、また出るようなのです違う CD でした (See life@aka: 蝕[エクリプス] in 響)

武満徹:雅楽〈秋庭歌〉
宮内庁式部職楽部
武満徹:雅楽〈秋庭歌〉
曲名リスト
1. 雅楽≪秋庭歌≫
2. 三面の琵琶のための≪旅≫
3. ≪秋≫抄
4. ≪ノヴェンバー・ステップス≫から 十段
5. 蝕(エクリプス)

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発売日は、2010-10-06。あと一か月弱ありますが、これで友達も満足するんじゃないかしらん。そう思うと、肩の荷が一つ下りた思いです ;)