2006-10-14

クラシック、これを聴いてから死ね! (大嶋逸男)

「クラシック、これを聴いてから死ね!」という本を読んでいます。出版社は青弓社。187 ページで、1800 円。副題には、こうあります。

バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、マーラーなどの 14 曲、これこそが死ぬまでに聴いておかなければならない曲だ!

1 曲ごとに CD を厳選して、特徴を丹念に解説する。音楽がもたらす豊かな潤いを感受しながら生きていくためのガイドブック。

いわゆる、クラシック音楽の名盤紹介本の一つです。二章構成になっており、第一章「死ぬまでに聴いておくべき厳選曲全 14 曲」が 139 ページまで。第二章「年代順・作曲家別、なるべく聴いておくべき曲」は 30 ページ足らずです。第一章がメインで、第二章は落ち穂拾い的な感じです。

第一章で取り上げられた曲は以下の通りです。

  1. アルビノーニ: オルガンと弦楽合奏のためのアダージョ ト短調
  2. J. S. バッハ: 無伴奏チェロのための 6 つの組曲 BWV.1007-1012
  3. J. S. バッハ: マタイ受難曲 BWV.244
  4. J. S. バッハ: アリア BWV.1068 より (G 線上のアリア)
  5. モーツァルト: ピアノ・ソナタ第 11 番 イ長調 K.331「トルコ行進曲」
  6. モーツァルト: ピアノ協奏曲第 21 番 ハ長調 K.467
  7. モーツァルト: 交響曲 40 番 ト短調 K.550
  8. モーツァルト: レクイエム (死者のためのミサ曲) ニ短調 K.626
  9. ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第 8 番 ハ短調 Op.13「悲愴」、ピアノ・ソナタ第 14 番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」
  10. ベートーヴェン: 交響曲第 5 番 ハ短調 Op.67「運命」
  11. フォーレ: レクイエム (死者のためのミサ曲) Op.48
  12. マーラー: アダージェット (交響曲第 5 番第 4 楽章)
  13. バーバー: 弦楽のためのアダージョ

「厳選全 14 曲」とありますが、実際には 13 曲しかありません。どこかで原稿を遺失したのでしょうか?ベートーヴェンのピアノ・ソナタ 8 番・14 番を 2 曲分に数えて、14 曲なんですね!

さてその厳選の 13 曲ですが、一曲ごとに、エピソード、曲の編成、曲の説明を書いた後、(この本の焦点である)「演奏比較」に入ります。どの曲にも、最低 20 の CD をリストアップし、各々に解説を加えています。解説の長さは、短いもので二行。長いものでは、一ページを丸々使っています。ここら辺は、CD ごとに思い入れの違いがあるのでしょう。というか、それが自然ですよね。私は、無理やり同じ長さの解説を入れていない所が好きです。

ちなみに、本屋でこの本を手に取った時、私はモーツァルトのトルコ行進曲とベートーヴェンのピアノ・ソナタの項を開きました。そして、大好きなピアニストであるギーゼキングの演奏に「推薦」と入っているのを見て、本をレジに運んだ次第です (CD リストには「無印」「推薦」「超推薦」の三つの印が付きます)。私的にはギーゼキングの演奏は「超推薦」なのですけどね :p。

また、解説の合間に「ヘルベルト・フォン・カラヤンについて」といったコラムが入ります。いいタイミングで入るので、好きです。

この本は、選曲・推薦の CD ともに個人の趣味に偏った内容ですが、コアなクラシック・ファンの話を聴いている感じで (私は) 楽しく読んでいます。

ところで、作者の大嶋逸男氏は一体何者なのでしょう。著者略歴には、1952 年生まれ (54 歳?)。行政書士・社会保険労務士で、一音楽・ファンとしかありません。どうも文筆 (特に音楽批評) は本業ではないようです。そのせいでしょうか、文章が冗漫だったり、つっかかったり、一読で理解できなかったりします。プロの音楽批評家と比べて、筆の力不足分だけ損をしていると思いました。特に、文章の捻れや、複文の多用、不思議な日本語 (ex. ピアノが弾く) などが目に付きました。編集者が注意してあげればよいのに...

この書で取り上げている CD は、定番的なものが多いですが、クラシック音楽の入門書としては向いているかもしれませんね。

クラシック、これを聴いてから死ね!
4787272187
大嶋 逸男


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

4 件のコメント:

  1. タクシーの運転手さん曰く、「人間、この一曲を持つべきだ」そう。akaさんのこの一曲ってなんだろか?と、フラフラやってきたらこの記事でした。

    人に物をたずねるときは自分のこと言わないといけないんだった^^
    ワタシはバッハインベンションです。
    タクシーの運転手さんはアリアに決まってる!と言ってました。

    返信削除
  2. cavacavien さん、こんにちは。

    「この一曲」ですか。なかなか難しいですね。五曲なら、Musical Baton で挙げた五つになるのですが、そこから一つに絞れとなると... 私にとっての「この一曲」はベートーヴェンの交響曲第五番「運命」ですかねぇ。

    cavacavien さんのお好きな、バッハのインベンションもよい曲ですよね。インベンションはいわゆる曲集になるわけですが、その中で特にお気に入りな曲とかあるのでしょうか :)

    ※とりあえず、今日、家に帰ったらインベンションとアリアを聴こう ;)

    返信削除
  3. そいえば、『運命』ってちゃんと聞いたことがないかもです^^じゃじゃじゃじゃーーーんっしかわかりませぬ。CD買ってみよかな。
    インベンションは一番落ち込むやつが好きです。へへっ。キース・ジャレットの2枚組み買ってしまった。

    返信削除
  4. 運命は、フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル (1950) がお勧めですよぉ。私は、この CD を聴いて運命とフルトヴェングラーにハマりました :)

    > インベンションは一番落ち込むやつが好きです。

    えっ? それだけじゃ分かんない。何の曲かを当てるために、今夜はインベンション・ナイトだ :p

    返信削除