第 13 回電撃小説大賞 <大賞> 受賞作品、「ミミズクと夜の王」を読みました。作者は紅玉いづき (こうぎょくいづき)。電撃文庫。
「ミミズクと夜の王」の特徴は、解説の有川浩氏が書いているとおりです。
平易な文章で綴られるお伽噺のような。
「ミミズクと夜の王」の解説 より引用
そこには、ツンデレもなく、学園生活もなく。SF もなく、ミステリーもなく。かわいい女の子も出てこなければ、挿絵も入らない (電撃文庫としては珍しいことです!)。ただ、ただ、心に浸みいってくる「ものがたり」があるだけ。
ミミズクという名前の少女と、「夜の王」と呼ばれる魔物のおはなし。
読み始めるとね、自然とページが繰られちゃう。文章がいいんですね。すごく静かに物語が進んでいって、気がつけば降りられない程にスピードが上がってる。止められない、というより、止まりたくない。とても懐かしい気持ちに戻ってしまう。何でかな? と考えてみたんですけど、これは小中学生の時に図書館の本を読んでた気持ちとそっくりなんです。ウィットもジョークも立ち回りも要らない世界。それが「ミミズクと夜の王」にはあります。
私は、電撃文庫の中では「娘と香辛料」という作品の完成度の高さにクラクラしていて、過去にはこんなことも書いています。
もし、「狼と香辛料」がハヤカワ文庫ファンタジーで発刊されてて、「○○幻想文学賞」や「英国○○大賞」なんて帯に出ていたとしても、私は驚きません。
でもね。「狼と香辛料」がファンタジーの良作なら、「ミミズクと夜の王」は児童文学の良作ですよ。カーネギー賞もんですよ。きっとね、作者の紅玉いづきさんは、「グリーン・ノウ」シリーズ (4 作目がカーネギー賞受賞) なんかが好きなんじゃないかな。ホントにね。物語を愛してるってのが伝わってきます。
0 件のコメント:
コメントを投稿