映画版の「マルドゥック・スクランブル」が三部作として制作されています。11/25 (日) に、第一部「マルドゥック・スクランブル 圧縮」の DVD を観賞後、映画館で公開中の「マルドゥック・スクランブル 燃焼」を観て来ました (第三部は 2012 年公開予定)。
圧縮
原作のエッセンスを凝縮したストーリー展開。原作同様、バロットが心を開くまでの展開はゆっくりとしたものです。映画として面白くなるのは、バロットが信号機をスナーク (遠隔の電子干渉・電子操作) する辺りから。物語のスピード感が増し、勢いを殺さぬまま第一部最大の見せ場である「カンパニー」との戦闘へ。SF ギミックの説明が省略され、物語運びはスムーズになり戦闘シーンも簡素になりましたが、小説の良さも同時に削ってしまっています。小説版を読んでいない人に親切で、小説を読んだファンには不足感が残る出来です。本編は 60 分ちょっとですが、2 時間映画に仕上げても良かったのではないかと思いました。
燃焼
前半は「楽園」、後半はカジノでスロット・ポーカー・ルーレットに挑みます。原作通り戦闘シーンは殆どありません。
楽園の描写はこの第二部の目玉でしょう。美しい庭園。電子端末になるプール。文章でイメージした「美しさ」を見事に映像化しています。
カジノ・シーンはイマイチ。スロットはほとんど端折られてしまいました。ポーカーでは展開が早過ぎ。イカサマ師たちの様子を見るウフコックに対して不満を抱くバロットの姿は描かれず、バロットのスナーク能力も使われず、イカサマ師たちのキモが「フルハウス」という手役で構成されていることも触れられず、アベレージを戻そうとするディラーの辛苦も飛ばされて、あっという間にバロット・ウフコック・イースター博士の三人はイカサマ師達に勝利します。小説にはゲームを支配する奥深い楽しさがありましたが、映画版は上澄みだけの面白さになってしまったのが残念です。
イースター博士がバカラに挑戦することはスキップ。
ルーレットでは、第二部で最も印象的な登場人物ベル・ウィングの登場です。小説で肝になるベル・ウィングとの会話を中心にゲームは進行。私がこのゲームで一番好きな対話、「あたしのテーブルに着いた理由は?」《あなたが素敵だったから》も洩れなく出ました! その一方で、ルーレット・ゲームの勝負は原作と比べて影を潜めてしまった感があります。映画でベル・ウィングとの対話とルーレットの勝負の全てを描き切るのは無理と判断して、より重要度の高い「対話」部分をクローズアップしたのでしょう。ラストの「2黒」だけは、マンガ版の様な表現でも良かったと思いますが...
ルーレットを終えたバロット達は最後のゲーム・ブラックジャックへ。そこで第二部は終了です。憐れなマーロウさんは未登場。第三部での登場もあるかないか分かりません。
第二部に関しても、ポーカー戦を深く掘り下げて 2 時間映画にしても良かったと思いました。
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