2009-05-21

戦国名臣列伝 (宮城谷 昌光) -- マンガ「キングダム」が楽しくなる本

「戦国名臣列伝」は中国・戦国時代の名臣列伝。

戦国時代の始まりを何年とするかは諸説あるようですが、大雑把には周から秦への移行期 (紀元前 400 年頃) と思えばよさそうです。当時は戦国七雄と呼ばれる国 (秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓) が覇を競っており、最後には秦の始皇帝が中国統一を成し遂げます。

戦国と呼ばれたこの時期に活躍した名臣らにスポットを当てて、半生を紹介するのが本書というわけです。選ばれたのは、戦国 7 国から 16 人。有名所だと、呉起 (呉子) や孫臏 (孫武の子孫; 孫武、孫臏とも孫子と呼ばれる) でしょうか。

キングダムが楽しくなる

さて、今、ヤング・ジャンプで「キングダム」という作品が人気です。戦国時代を描いたマンガで、主人公は秦の兵士・信 (武将・李信がモデルか?)。国の実権は秦王・嬴政 (後の始皇帝) よりも宰相・呂不韋にあり、これから信と嬴政がどう中国統一に向かうのかが楽しみなところです。

この作品で、秦は様々な国と争うわけですが、戦国時代など歴史の授業でもサラリとしか流さないので、背景が掴み切れません。もちろんマンガの中で説明はあるのですけど、何十年にも渡る因縁を本編の流れを崩さず語り切るのは無理があります。

例えば今連載中の、秦と趙との戦い。ここで秦が趙の恨みを買った戦いとして「長平の戦い」の名前が挙がります。

この「長平の戦い」で指揮官だった人はどんな人なのでしょう?

そこで本書です。「秦の白起」「趙の廉頗」を読むと、両国指揮官の半生が分かるわけです。ちなみに「趙の廉頗」は、マンガの中で何度も出てくる (旧) 「趙の三大天」の一人です。他の三大天は? はい、彼らも名臣として取り上げられています。「趙の藺相如」「趙の趙奢」を読んでみましょう。

これから先の展開が気になったら、「秦の呂不韋」もどうぞ。ネタバレ内容も含みますが、面白いですよ。

あと、名臣としては取り上げられていませんが、キングダムの登場人物も何人か名臣伝の中に姿が見えます。例えば、(呂氏陣営の) 李斯、(蒙武の息子) 蒙毅、(山民族の) 楊端和、(信の副将の) 羌瘣。マンガの中の架空の人物なんだろう、と思っていたのですが、実在の人物なのですねぇ。もちろんフィクションも入ってるんでしょうけど...

ちなみに、「春秋名臣列伝」という本もあります。こちらは、「戦国〜」に比べてそれほど面白くありませんでした。まあ、興味があれば読んでみるのもいいかもしれません。

戦国名臣列伝 (文春文庫) 春秋名臣列伝 (文春文庫) キングダム 1 (1) (ヤングジャンプコミックス)

1 件のコメント:

  1. 初めまして。

    漫画の創作の部分と史実の部分が分かれば、また一層面白いですね。

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