今日は映画の日です。そういったわけで、「スーパーマン・リターンズ」を観てきました。
監督は、「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガー (スーパーマンのために、「X-MEN」シリーズ最終章「X-MEN ファイナル・ディシジョン」の監督を降りたとか...)。主役のスーパーマンには、ニューフェイスのブランドン・ラウス。敵役レックス・ルーサーには、ケヴィン・スペイシー。ストーリーは、前作「スーパーマン 4 最強の敵」(1987 年製作) から 5 年後という設定です。
映画を観て嬉しかったのは、旧スーパーマン・シリーズと雰囲気が変わっていないことでした。新顔ブランドン・ラウスは、クリストファー・リーブと顔が似ていて、もしかしたら、リーブより男前かもしれません。クラーク・ケントの時のサラリーマンっぷりと、スーパーマンの時のヒーローぶりをちゃんと演じ分けていて、好印象でした。スーパーマンの活躍っぷりも、常識的に考えればそれはないでしょうって展開 (第一作でやった地球の自転を戻しちゃうみたいなやつね) が、「スーパーマンなら、それ位いやるんです」って言わんばかりに繰り広げられる様は気分がよかったです。理屈云々言う SF 映画もいいですけど、何も考えずスーパー・ヒーローの活躍する映画も見てみたいんですよね。音楽も、お馴染みのスーパーマンのテーマが使われていて、胸のすく思いがしました。特に、前奏部分がいいですね。スーパーマンがこれから何かやってくれるぞ、と観てる人に教えてくれて。見てて血が騒ぎます :)
悪役レックス・ルーサー
少し話をズラして、悪役について。
最近、アメコミの映画化では、有名俳優を悪役に据えることが多くなりました。X-MEN シリーズのイアン・マッケラン。バットマン・シリーズからは、ジャック・ニコルソン、アーノルド・シュワルツネッガー、ジム・キャリー等々。いい悪役を置くことで、作品の質が高くなっています。その先駆けになったのが、1978 年の「スーパーマン」で悪役レックス・ルーサーを演じたジーン・ハックマンだったのではないかと思います。ハックマンは、1971 年の「フレンチ・コネクション」でアカデミー主演男優賞を受賞しており、当時としては、アメコミの映画化で悪役を演じるなど考えられなかったのではないかと想像します。
けれど、この配役が当たるんですね。人間なのに、天性の知能を発揮してスーパーマンと渡り合う、天才犯罪者。他のアメコミ映画では、悪役が主人公同様、特殊能力を持っているものですが、レックス・ルーサーは生身の人間で腕っぷしが強いわけでもありません。ただ、ただ、頭が良いだけの犯罪者です。それなのに、空を飛び、弾丸を弾き返す、スーパーマンを苦しめるのです! 考えてみると、これは、とても難しい役ですよね。しかし、ジーン・ハックマンはレックス・ルーサーを見事に演じ切りました。
さて、スーパーマン・リターンズでは、レックス・ルーサー役をケヴィン・スペイシーが演じています。スペイシーは、1995 年の「ユージュアル・サスペクツ」でアカデミー助演男優賞を、1999 年の「アメリカン・ビューティー」でアカデミー主演男優賞を受賞した男優ですね。レックス・ルーサーのトレード・マークである、禿頭もちゃんと再現してて嬉しかったです。とにかく、彼はコミカル。スーパーマン・リターンズの中で一番笑せてもらいました。少し、天才犯罪者にしては小粒と思うような部分もあったんですけど、彼の「○○を作って金儲け」という計画の中に、ちゃんとスーパーマン打倒の策も折り込まれてるあたり、感動してしまいました :)。インテリな犯罪者らしく、モーツァルトの音楽をかけてる (2006 年はモーツァルト生誕 250 周年) のも好印象。欲を言えば、モーツァルトのかつらを着けて欲しかったです :p
良質なエンターテイメント映画
スーパーマン・リターンズですごいのは、人が殺されるシーンがないことです。それどころか、暴力シーンもほとんどありません (一か所だけ)。スーパーマンは、あれほど強いのに、悪人を叩きのめすことすらしません。彼は常に紳士であり、人を助ける為に戦います! スーパーマン・リターンズは、決して、SFX だけの映画ではないのです。
※「命を大切にしない奴なんか、大嫌いだ!」と言いながら、敵を焼き殺してる映画は、見ならって欲しいものです!
それでは、子供に対象を絞っているのでしょうか?
いえいえ。スーパーマン・リターンズには、ちょっとした恋のスパイスも入っていて、大人でも楽しめるように作られています。
こういうのを、極上のエンターテイメントっていうんでしょう。オススメの一本です。