2015-07-14

パッヘルベルのカノン

「初心者向けクラシック音楽」プレイリストの「パッヘルベルのカノン」の説明です。

作曲者と時代

作曲者ヨハン・パッヘルベルはドイツの作曲者です。1653 年生まれ、1706 生没。時代は「バロック時代」。バロック時代で有名な作曲家といえばバッハ。バッハは 1685 年生まれなので、パッヘルベルはバッハの一世代前の作曲家となります。

この時代のクラシック音楽は主に教会で演奏されるものが多かったようです。コンサート・ホール向けに作曲されたのではない、というのがポイントですね。また、クラシック音楽の代表とも言える「交響曲」というジャンルはまだ生まれていませんでした。ピアノもまだ発明されていなくて、鍵盤楽器と言えば教会に備えつけられたパイプ・オルガンか、小音量しか出ないチェンバロくらいしかありませんでした。ヴァイオリンも今と比べると小さな音しか出なかったと言います。

「パッヘルベルのカノン」は俗称です。正式には「3 つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」の第 1 曲目と呼ぶのが正しいです。

曲名を少し分解してみましょう。「3 つのヴァイオリンと通奏低音」は楽器の種類と数を表しています。ヴァイオリンが 3 丁と通奏低音が 1 つ。4 人で演奏できる曲、ということになります。

「通奏低音」というのはバロック時代特有の用語で、曲を「通」して伴「奏」される「低音」部を演奏する楽器を指します。具体的にはオルガンやチェンバロ、チェロ、コントラバスが「通奏低音」楽器として使われますが、どの楽器を使うかは演奏者に委ねられています。また、当時のお約束ごととして、通奏低音には楽譜に書かれた音符の他に、演奏者が適切な和音を付けて演奏することになっていました。楽器選択も演奏も気ままに選んでください。っておおらかなことを言っていたのがバロック時代です。

話を元に戻して、曲名の後半を見てみましょう。「カノンとジーグ」。カノンは大雑把に言えば輪唱です。一人目のメロディーを他の人が追いかけてゆきます。ここでは 3 丁のヴァイオリンが、同じメロディーを追いかけるように演奏してゆきます。

ジーグは舞曲の一つです。踊りを曲名とするのはワルツやポルカと同じですね。ジーグはアイルランドやイングランドの民俗的な踊りで、速いテンポで演奏されるのが特徴的です。

パッヘルベルのカノンの正式名称は「カノンとジーグ」の二部構成です。しかし、「ジーグ」は演奏されることが少なく、(二部構成の第 1 部に当たる) カノンだけが有名になりました。このカノンを特に「パッヘルベルのカノン」と呼んでいます。

演奏者と演奏

指揮者はサー・ネヴィル・マリナー (Sir Neville Marriner)。1924 年生まれのイギリスの指揮者です。

マリナーで有名なエピソードは二つあります。1 つは 1959 年にアカデミー室内管弦楽団 (Academy of St. Martin-in-the-Fields) というオーケストラを創設したことです。大編成なオーケストラ曲 (交響曲とか) ではなく、編成の小さな曲を演奏して有名になりました。もう 1 つは、モーツァルトの自伝映画「アマデウス」(1985 年度アカデミー賞 8 部門受賞) の音楽を担当したことです。マリナーのモーツァルト演奏に対する評価に高さが伺われますね。

マリナーの演奏するパッヘルベルのカノンについて見てみましょう。

パッヘルベルのカノンは本来 4 人 (もしくは通奏低音を複数の人が担当して 10 人以下) で演奏する曲です。しかし、今日では弦楽合奏用 (= オーケストラ向き) に編曲されたものがよく演奏されます。マリナーも弦楽合奏版を用いて演奏しています。通奏低音はオルガンが担当しています。このオルガンの音は低いので、雑踏の中では聞こえづらいかもしれません。静かな所で聴く機会があれば、オルガンの音が鳴っていないか気にかけてみてください。オーケストラの響きとオルガンの低音が絶妙なハーモニーになっているのに気づくと、曲が更に楽しくなるでしょう。

マリナーの演奏は過度な演出をさけたオーソドックスなもので、ゆっくり目の庫ちついたテンポが心地良いです。大編成オーケストラ・スタイルと (オリジナルの) 小編成スタイルの中間という意味でもバランスが良いと思います。

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