2019-10-12 (土)、十八年ぶりとなる十二国記の長編小説「白銀の墟 玄の月」が発売されました。
舞台は戴国。行方の知れぬ戴の王、驍宗はどこに? ページを繰る手が震える思いで、二巻の最後まで読みました。文句なしに面白く、三巻が出る 11 月が楽しみです。
さて、白銀の墟 玄の月にはたくさんの登場人物が現れます。そして白圭宮に関わる人々は、阿選が王座に座る前と後で大きく様変わりしてしまいました。そこで、白銀の墟 玄の月 二巻終了時点での白圭宮方の人々の名前と官職をまとめてみました。
本を読んでいない人には、ネタバレになります。ネタバレ厳禁な方は、ここでページを離れてくださいませ。
登場人物の名前と官職
次のようなルールで図をまとめました。
- 白圭宮に関わる登場人物のみ記述
- 各王 (驕王・驍宗・阿選) の時代における官職を記述
- 「官職名・名前」の形式で記述、故人には💀、行方不明には🤔の絵文字
- 左側に文官・右側に武官を記述
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官職名の説明は 十二国 - Wikipedia に詳しいですが、白銀の墟 玄の月を読むには不要な情報も多いので、こちらにも簡単にまとめておきます。
武官の用語について
戴国は 9 州から成り、王直属の禁軍と各州の州師があります。禁軍と (首都州の軍である) 瑞州師を合わせて王師と呼びます。
禁軍および州師は 3 軍から成り、左軍・右軍・中軍があります。左軍将軍が最も格が高く、右軍・中軍の順に格が下がります。Wikipedia には州師に佐軍が認められるとありますが、戴国で佐軍の置かれた州師の記述は今のところありません。
軍の編成は小さい順から次のようになっています:
- 伍: 5 人
- 両: 5 伍 (25 人)
- 卒: 4 両 (100 人)
- 旅: 5 卒 (500 人)
- 師: 5 旅 (2,500 人)
各々の長を師帥、旅帥、卒長、両長、伍長と呼びます。
将軍は師帥の上にあって、状況によって軍の規模が変わります。軍の規模は次の 4 種があります:
- 黒備: 5 師・12,500 人
- 白備: 4 師・10,000 人
- 黄備: 3 師・7,500 人
- 青備: 1 師・2,500 人
王師六軍 (禁軍 3 軍と瑞州師 3 軍) は黒備で常備するのが通常ですが、阿選の時代にあっては黒備 2 軍・黄備 4 軍となっています。
将軍は自分の軍府を持ち、専属の文官を持ちます。軍府の文官の中で上級文官を特に幕僚、幕僚の長を軍司と呼びます。幕僚は文官ですが、この図では武官側に描いています。
文官の用語について
白圭宮 (王宮) は王をトップに六官が、各州には州候をトップに六官があります。
王の補佐は宰輔が、州候の補佐は令尹が担います。宰輔は麒麟がなることになっていて、麒麟は首都州 (瑞州) の州候を兼任します。
六官とは別に王の相談役・教師として三公があります。三公は格の高い順から太師・太博・太保です。三公は政治に介入することが許されていません。
王の六官の長として冢宰が、州候の六官の長として州宰があります。
六官には天官・地官・春官・夏官・秋官・冬官があり、次のような役割分担になっています:
- 天官: 天官長太宰を長とする。宮中諸事を掌る。
- 地官: 地官長大司徒を長とする。土地戸籍を掌る。
- 春官: 春官長大宗伯を長とする。祭祀を掌る。
- 夏官: 夏官長大司馬を長とする。軍事を掌る。
- 秋官: 秋官長大司寇を長とする。法令・外交を掌る。
- 冬官: 冬官長大司空を長とする。造作を掌る。
夏官は基本文官です。ただし大撲や小臣のように実際に警護を行なう者たちは武官を用いています。なので大撲や小臣は武官側に書くのが良いのかもしれませんが、この図では文官側に描いています。
護衛は夏官の領分で、太衛をトップに、公的な場における護衛の長である射士と私的な場における護衛の長である司士を置きます。ただしこれは状況や好みに応じて方針が変わりがちで、驍宗時代の泰麒の護衛は射士のみを置き司士は置いていませんでしたが、阿選時代は射士を置かず司士のみを置いています。また、Wikipedia には大僕が小臣の長とありますが、ここでは例外的に小臣は司士の直属となってます。
「大僕はこれまで通り、項梁殿が務める。一名だけ増員があるが、小臣とは直接関与はしない。小臣は全部俺の直属だ」
白銀の墟 玄の月 (二) p.315 より